2017年2月2日(木)東京Candoll初戦3日目(LasRabbi他)@渋谷Glad

 フランスで開催されるJapanExpoへの出場権をかけてアイドルが競う東京Candoll初戦三日目。昨年は惜しくも敗退となったLasRabbiが必勝を期して再び挑む舞台ににんじんが集結。出場アイドルはラスラビの他、WiLL、空野青空、片目惚れ、Girl’s Beat!!、ノーメイクスの総税6組。ラスラビ以外はすべて初見という新鮮なラインナップ。結果は下記;

 

1位 空野青空

2位 WiLL

3位 ノーメイクス

4位 Girl’s Beat!!

          LasRabbi

------以上予選通過----------

6位 片目惚れ-hitomebore-

 

 今回4位が2チームということで6位の片目惚れのみが初戦敗退。残りの5チームが次回進出ということでラスラビにとっては薄氷を踏むような際どい結果での勝ち抜けとなった。一番手のWiLLは聞き逃したが終演後の物販にオタクが列をなしているのを見て勝ち抜けを確信。ライブを確認した中では1位の空野青空(あおにゃん)はルックスも高水準でキャラも上滑りしない安定度でライブも盛況、それなりにヲタも動員しておりこちらも余裕で予選通過を予想。残るは団子状態だがライブの盛り上がりでは頭一つ抜けたラスラビが僅差で3位につけると予想したが結果は逆にギリギリの4位。ヲタはそれなりに動員していたはずなので来場者ポイント(推しのアイドルに0.5ポイント)での優位性が生きず投票であまり差をつけられなかったということだろう。

 WiLLとあおにゃんは余裕で勝ち抜けが予想されたためLasRabbi以外の二組としてGirl’s Beat!!とノーメイクスに入れたがどちらもライブは今一つの盛り上がりだった割に健闘。前者は均整の取れたスタイルで露出度の高い衣装とボイスパーカッションの目新しさ、ノーメイクスは何だか懐かしい感じの衣装や曲のおもしろさ、そして意外と完成度の高いライブパフォーマンスとそれなりに大人がまじめに作って仕上げてきた痕跡が伺えて好感を得たものと見える。ラスラビも勢いはあったのだが、結局、終わってみるとめぐちのキャラクターが強烈なだけにそれだけが印象に残るためグループとしてのアイデンティティが逆に希薄になってしまうというということはあり得るのかもしれない。客層にもよるのかもしれないが意外と楽曲派が多かったのだろうか。2階3階で地蔵に徹してた客も多かったしなあ。敗退した片目惚れは眼帯で片目を隠してしまってビジュアルが確認できないのが大きい。りゅうあちゃんなんかは本当は可愛いのに眼帯でよくわからないし。コンセプトとしてあまり機能しているとも思えないしマイナスの要素の方が大きいのではないのかな。

2017年1月26日(木)リンクSTAR's定期@TWIN BOX 秋葉原

 昨年末に新メンバーが降格して以降初の定期。研修生の活動を突然打ち切ったと思ったら即追加メンバー募集を始めたりいろいろと何をしたいのか読めない運営ではある。降格メンも伊藤優愛以外は今回から始めたランチェキには含まれておりいずれ復帰のニュアンスも残しつつ未だいつステージに立てるかはわからないという非常に煮え切らない処遇。羽田愛菜など人気の高いメンバーも降格となり集客への影響が注目されたが、特に目立って減少したようにも見えなかった。無銭なのであまり参考にはならないかもしれないが。

 セトリははるるんのブログから下記の15曲ノンストップ。いろいろあったせいか正規メン3人の気合は十分。やたら観客にコールやオーイングを求めたりと煽りまくり。会場の熱気が高まって…というよりはどこか焦りのようなものさえ伺え、やはりグループとして存続していく上であまり良い状況にはないのだろうなということを感じさせた。

 パフォーマンスについて。ツイボの狭い舞台ではやはり正規メンの三人にサポメン二人を加えた5人程度のバランスがよいのかダンスの動きが大きく見ごたえ十分。舞台を終えたばかりでダンスからは遠ざかっていたひなりんがステージ感を取り戻すまで無難に対応していたのと対照的に「リンクSTAR’sに賭ける」と断言するはるるんの気合、また、もともとライブが大好きでたまらないのだろうありちゃんのどちらかというと鬼気迫るパフォーマンスともども見過ごせない何かを感じさせた。今回のセトリはデビューから時系列で組んだということであり、ラスト定番の甘いミントが早々に演じられるなどいろいろと勝手が違う中で敢行。代わってトゥインクリンがラストだが、これはすでに昨夏のリリースであり、それ以降、新曲をリリースできていないことになる。それなりに曲の蓄積はあるので定期、対バンともにセトリを組むためのストックには困らないが、やはりマンネリ打破には新曲が一番。ありちゃんが売れかけているだけに新曲で露出の機会を増やしたいところ。

 それにしてもホメノビ☆じゃぱんだで最初に見た時から、このグループは歌さえなんとかすれば大化けするのにと感じたものだが、その点は一向に改善されない。ななみんが入って彼女のパートだけはなんとか安定しているように思えた時期もあるのだが、降格によりまた振り出しに。2月はかなり積極的にライブのスケジュールを組んでいるようなので降格メンを見る機会に期待しつつ生暖かく見守りたい。

 

セットリスト:リンクSTAR’sオフィシャルブログ(大友波瑠)より

煌めきSUN-DAYS
光の先
神回シンドローム
ホメノビ☆じゃぱんだ
甘いミント
イカネバの娘
ツバサノウタ
TwinStars
サポートメンバー
リンクスター
拡サンダー
秘密基地
ダーリン
パリッタ★
トゥインクリン☆

2017年1月26日(木) ボカフォト平日無銭 南はな(なちゅらリウム.vivid)ソロ@秋葉原サイファー

 約2か月振りのはなちゃんソロ。ラスラビの物販を待つ間にビラ配りをしていた女の子。積極的で明るい性格に惹かれ興味を持ち検索したのがきっかけ。なちゅらリウム.vividの壮絶な歴史とメンバーがどんどん脱退し一人になってもグループを守ったというその物語性に動かされ前回のソロで初めて接触。それからまだ3か月も経っていないのが不思議に感じられるほどTwitterなどにより(ファン目線で)濃密なコミュニケーションを継続したことで(あくまでも主観だが)強固な関係性を構築(したと思い込む。)今回のソロは何をおいても行かねばならぬと早めの出番(18:05開始)に備えるためフレックスで17時退社を申請する万全の態勢。16年間のハロヲタ人生で接触というものにほとんど興味はなくリリイベなどでも一度も握手に臨んだことはなかったのだが、今や地下アイドルの主要な収入源と化しそれを抜きには地下アイドルを取り巻く現象を語れない状況から初めて接触に臨んで3か月。(自称)楽曲派として忸怩たるものはあるものの今や曲への評価とは関係なしにはなちゃんのライブには駆けつけなければとの思いに駆られている。AKB48の躍進の一つの理由としてこの接触による関係性マーケティングの強烈なインパクトについて言及されているが、地下アイドルのようなコンテンツとしては未完成な形態ですらこれだけファンを駆り立てるのだから、オーディションでそれなりの人材を揃えて秋元康の人脈により高い水準のコンテンツを揃え常設劇場で毎日のように公演ら通っていればとてつもない勢いではまってしまうのは大いに理解できるところだ。エンタテイメントの世界だけではなくBtoBを含むあらゆるビジネスにおいて注目度の高まる関係性マーケティングについては別の機会に考察を行いたい。

 さて、はなちゃんである。一番手の黒絵うみちゃんというソロの女の子が意外にも大勢のヲタを引き連れて盛り上がったため二番手のはなちゃんの動向が危ぶまれたが幸いなことにこの日は古参のファン(はなちゃんによれば「懐かしい人」)も駆けつけそれなりの態勢で臨むことに。この日の前に発表されたメンバーの突然の解雇により再び二人となったなちゅらを励ますためだったのか有り難い配慮ではある。「契約違反」が何を示すのかはわからないが本人確認の後即日解雇となる所業であればある程度は想像がつく。筆者が知ったときに四人であったメンバーのうち一人は他グループとの兼務による過労から脱退。残った三人のバランスはそれなりによかったため残念ながら当面は二人で凌ぐことに。どこで見つけてくるのかCheer Zelopやパストリープスなどサイファを根城にする姉妹グループの人員も早期に補強されているのでいずれ増員があるものと期待。

 セットリストはLiSAの「Rising Hope」、平野綾の「God Knows」、ボカロの「天樂」というヲタ芸打ちにはたまらないプログラム。ステージ用のなちゅらTシャツを忘れたため急きょ汎用JK制服に黒タイツ、眼鏡で現れたはなちゃんに会場のボルテージも最高潮。はなちゃんのパワフルなボーカルにまた磨きがかかったようで、激しい曲調ではあるものの発声が大分安定してきたように感じた。本人も楽しみにしていたというように本来はなちゅらのEDM寄りのクールな曲調よりもこのように激しい曲で映える声質なのかもしれない。当初の路線とは異なるがはなちゃんの才能に合わせて楽曲の方向性を変えてみるのもまた一興。正直、この日のはなちゃんソロは普段のなちゅらのライブよりもかなり楽しかった。

2017年1月24日(火)ピンク・ベイビーズ 新曲「UFO」リリースイベント@タワーレコード横浜ビブレ店

 ピンクレディーのカバーグループということであまり積極的に見に行く動機に欠けるせいか意外にも初見。今回は平日の夕方に横浜でのイベントということもあってかメンバーはおそらく年長の5人。開始前に店内でビラ配りをしていたがあくまで一般客風を装っているためかビラはいただけなかった。

 S.O.S.から始まって知らない曲を一曲はさみペッパー警部渚のシンドバッド、愛しのニューオーリンズ、UFOと懐かしの曲が並ぶと自然に手が動き振りをなぞってしまう。UFOの脚パカパカもしたくなるがそこは大人の分別で我慢。そんな世代。愛しのニューオーリンズなんて曲は現役世代ではあっても初めて聞くような曲なのだが、これがまた都倉俊一の懐かしい雰囲気のメロディーをみーちゃんけいちゃんを彷彿とさせるしっかりした歌唱力で意外にも聞かせる。正直、結構、うまいじゃないかと。客席は案の定、筆者と同世代かそれ以上の中年男性がメインで時折若い人も見かけたけれども、ピンクレディーが突き刺さるのはやはり小学生時分にTVで見て学校で休み時間になれば誰かが歌って踊ってたという時代を経て育った我々の世代だろう。この懐かしいピンクレディーの曲をアレンジもほとんど変えずに(これはあえて今風にして中年男性を遠ざけないためのポリシーに基づくのだろう)しっかりと歌える可愛い女の子に演じさせる。これはターゲットの中年男性がもしどこかのイベントで出くわしてしまったら逃れようがないのではないか。あらためて感じるピンクレディーの破壊力恐るべし。

2017年1月22日(日) TOWER RECORDS presents ザ・感謝祭2017新春@品川ステラボール

 タワーレコーズの各レーベルよりCDをリリースするアイドルが一堂に会するイベント。出演はT-Palette Records からNegicco / アップアップガールズ(仮) / GANG PARADE / アイドルネッサンス  / WHY@DOLL、yourthsource recordsからDevil ANTHEM. / 上月せれな、箱レコォズ から じゅじゅ / エレクトリックリボン / Hauptharmonie / KOTO / リナチックステイト、神塔から 神宿、PENGUIN DISCから ハコイリ♡ムスメ。およびアイルネとリリカルスクールのコラボによるリリカルネッサンス。合間に参加アイドルによる腕相撲大会も開催とあって12時の開園から終演が20時近くという長丁場。今回は珍しく友人と参加したこともあり適度に小休止を取りつつ、じゅじゅ、Devil ANTHEM.、エリボン、KOTO、リナチックステイト、ハコイリ♡ムスメ、WHY@DOLLまで7組を鑑賞。もう少しアクティブに参加してもよかったと思うのだがやや後方で遠巻きに見ているとファンの熱気が明らかに中心の一部とその辺縁では違うためコールのタイミングもよくわからず拍子を取る程度の一般人ノリに終始。

 全体の印象として横に広いフロアと明るいステージは後方でも見やすく巨大なスピーカーから出力される音響はボーカルとオケの分解もよく聞きやすかった。出だしのじゅじゅのようなラウドロック系の低音では振動を体で感じることもでき迫力は十分。以下個別の感想:

じゅじゅ:黒髪美少女3人組が修道女をイメージした露出のほとんどない黒い衣装に身を包みゴシックメタルをコンセプトに激しく歌い踊る。オタクがしょっぱなからリフトのやり放題なのでどうなることかと思ったが、その後の出演者では一度も見なかったため、ここのファンが武闘派なだけだった模様。さすがにレーベルからリリースされるだけあって歌唱力、ダンスともパフォーマンスはしっかりしていた。音楽的にはCANDY GO!GO!や妹分のアンダービースティに近い感じだがその上になんだか面倒くさいゴシックホラー的なコンセプトを奉じているようなので応援していく上でいろいろと面倒くさそうな雰囲気。見ていてあまり楽しそうでないのがにんともかんとも。

Devil ANTHEM.:直訳すると悪魔の凱歌、ということでじゅじゅに続いて面倒くさいおどろおどろしいコンセプトアイドルが登場するかと思いきや可愛らしい中学生程度の少女たち。衣装こそ悪魔の角のようなものをつけてはいるがポップなアイドルソングを一生懸命歌い踊る姿は普通の若年アイドルそのもの。当日の4~5曲程度で判断はできないがどこへ向かうのか今一つ方向性がよくわからない印象。

エレクトリックリボン:さすがのパフォーマンス。好きで聞きに行くだけあってやはり肌に合っているのか曲よし、歌よし、見栄えよし。正月明けのせいかワンマンの時よりもリーダーがやや大きく見えたのはステージが広いせいだったか。定番の乾杯スターライト、波音チューニング、アイラインなどを披露。キャッチーでポップな曲調に覚えやすくノリやすい振り、しっかり安定した歌唱力と一見さんにも入りやすい間口の広さはこの日の出演者でも随一。

KOTO/リナチックステイト:ソロ二人が続いて登場。リナさんは以前ハピくるのハッピーセットで見たことがあったが広いステージでも堂々としたパフォーマンス。KOTOちゃんは初めて見たが演奏の全力っぷりは他のグループアイドルとは一味違うところ。

ハコイリ♡ムスメ:80~90年代のアイドルをコンセプトにオリジナルやカバーに取り組むとの触れ込みだったが、実に正統派なつくり。二組で色違いのチェックの衣装にベレー帽といういでたちはまさに80年代のアイドル雑誌から抜け出したかのよう。女優を目指すメンバーが集結ということでビジュアル先行かと思われたがきれいにハモるコーラスを聞かせたりと歌唱力もそれなりにしっかりしていた。連れて行った友人は90年代初頭にリボンやクレアを経て制服向上委員会へと行きついた元コアなアイドルファンだけにこの正統的な佇まいには惹かれるものがあったそうだ。

WHY@DOLL:さすがの貫禄。華やかさはステージでも大いに映える。音楽的には東京女子流がどっぷりはまって大失敗した楽曲派の運営が好む80年代のコンテンポラリーミュージックくさい方向性。付点多めのリズムに7thや9thを多用した短調系和声進行の地味なメロディーの曲で、一言でいうと角松敏生崩れっぽいとても地雷臭の強いジャンル。しかしながら曲の地味さを補って余りある二人のアイドル性によりなかなか華のあるステージ。適度に入れる「みなさん一緒に」の煽りを真に受けて一緒に踊ってしまうと意外に難しい振り付けもできないなりに参加意識を刺激されて終わってみれば楽しかったという稀有な経験。パフォーマンスも素晴らしいけどいかにもガチ恋系のファンが多そうだなあという印象。

2017年1月9日(月祝)ねがいごと。新曲リリイベ@タワーレコード川崎店

 チッタでのベボガワンマンに続いて隣のチネチッタタワーレコード川崎店でのねがいごと。新曲「わたしがわたしが一番可愛い女の子」のリリースイベント。ベボガワンマン14:30頃終了、ねがいごと。リリイベ15時開始と絶妙なタイミングでの移動。

 会場の客席は圧巻。若者の多かったベボガのライブとは隔世の感。メンバーが小6と中一であることを考えるとどう見てもおじいちゃんと呼べる世代が主力。一部後方に30代くらいの若手がいたが、基本的には先日のレッポコの客層と被るシニア世代。ただしレッポコよりもカメラやスマホ撮影専従の人は少なく手拍子もパラパラと聞こえた他、老齢ながら前方で振りコピる猛者もいた。

 新曲「わたしがわたしが一番可愛い女の子」を含む4曲を披露するが結構、ポジションを目まぐるしく変えるフォーメーションダンス的な本格的な振り付けで狭いステージではやりにくそうな感じ。歌声は見事に子供の声でマイクを通さずない生声。かぶせではなかったと思う。こういう子どものアイドルグループではどういう理由からかわからないが必ず心ここにあらずというか私なんでここにいるの感を醸し出している子がいるものだが、この日は野尻さくらちゃん(愛称はさくにゃん)が何か不安を抱えているのか泣きそうな表情を浮かべる場面もあり気になった。つばきファクトリーのきしもんこと岸本ゆめのに似ているほか、キッズ加入食後の矢島舞美を彷彿とさせる雰囲気なのでこの子は化ける可能性大ですよとここでは強調しておきたい。

 リリイベで見たアイドルは気になるのでHPやTwitterをチェックしてみるのだが、運営の方針としてリプはおろかファボ(いいね)も禁止しているようだ。一切フィードバックがなくても多くの反応を得ているメンバーもいるので特に必要ないと考えているのか不明だが、人気下位メンバーの場合、書き込む人数が如実に減ってきてつぶやきに対して何も反応がない場合もあり痛々しい。フォロワーとして書き込んだ場合、せめて読まれているということがわかるようにファボ程度は許さないとフォロワー、メンバーともにモチベーション低下は避けられないのではないか。

ツイッターは今やマスメディアへのチャネルを持たない地下アイドルにとってファンを獲得・維持するためのライフラインといっても過言ではないコミュニケーションツールと化している。それだけに過去の炎上事例などから学習し予めツイッター運用上のガイドラインを定めている運営は多い。

 基本的にメンバーがJK以上の場合はファンの数によって対応を変えているように見える。定期的にコメントを入れるファンが一桁程度の場合は運営がある程度メンバーに裁量をゆだねリプまで解禁、一定数を超えて全員へのリプが物理的に不可能になると公平性の観点から一律リプ禁止、ファボOKというパターンが多いようだ。あらかじめこの方針をタレントのプロフイールなどで提示しておかないとタレントの気まぐれで特定のファンのみにリプライがあると反応をもらえないファンが心象を損ねてアンチ化する弊害さえ懸念されるため、最近新しく発足するアイドルのアカウントではリプはいくつまで、DMの返信は不可などの方針をプロフィールで明示している場合が多い。

 そのようなファンとの関係性を育む強力なマーケティングツールであるツイッターだが、ねがいごと。の場合はメンバーが小中学生であるだけに、また、先代のねがいごと(まるなし)がファンとつながるなどの不祥事を起こしている先例もあり運営側がファンコミュニケーションに際しかなり慎重になっている姿勢が伺える。ファンとのコミュニケーションについてはまた別の機会に考察してみたい。

2017年1月9日(月祝)ベボガ!(虹のコンキスタドール黄組)1stワンマンライブ「ベボガガ!〜エピソード2〜」@川崎CLUB CITTA

 ベボガのワンマンはファーストではないのだけれど虹コン黄組としては初というややこしい形。ベースボールガールズとしてはすでに一年前にやはり同じチッタで800人を集めている。本来であればある意味有名人であるぺろりん先生こと鹿目凛を擁するグループだけにさらなるステップアップを図りたいところだが、なにしろ昨年春に前プロデューサによる業務上横領発覚による突然の活動停止(MCでぺろりんより49日「しじゅうくにち」との発言あり)により1か月半以上活動が滞り、その後、現在の事務所であるpixivに移籍、虹コンファミリーとして再スタートという経緯を経ているため、まずは再びワンマンを昨年とそん色ない規模で開催できれば御の字という状況。メンバーも上演直前まで泣いていたと吐露するなど不安を隠せない様子ではあったが、開演後の会場の熱気にそのような危惧も払しょくされたに違いない。

 会場はサイドに張り出して花道を作った分フロアを削っているがほぼ満員。前方にはまだスペースがあったようだが後方は完全にパンパンで入れないため前方の客は詰めるように指示、ちなみに後程メンバーからはまったく逆の指示があり一旦後方に下がったのだが、会場から指摘を受けて慌てて取り消す一幕もあった。公式な収容人員は1300人とのことだが脇のスペースを削っていることと2階は家族など関係者席としていたことから実際の集客は1000人前後と推測される。

 セットリストには様々な思いが込められているとのことでメンバーの樋口彩(あやぱむ)のブログに詳しいのでそちらを参照。

ameblo.jp

ライブアイドルファンとしてはやはり客席のサイリウムの色分布やコールの統制度が気になるところ。握手会ではぺろりん先生の列とそれ以外のメンバー全員の列がほぼ同等と聞いていたので黄色一色かと思われたが、目分量では青(あやぱむ)が最多、次いで黄(ぺろりん)、この2色が大半で残りは赤(「ここたん」こと水沢心愛)、オレンジ(「ありり」こと三浜ありさ)、ピンク(「りかんぬ」こと葉月梨花)がそこそこ、紫(「みとちゃん」こと水戸しのぶ)がほとんどないように感じられた。判官贔屓の筆者はもちろん紫。ただ「ヒーローインタビュー」で筆者のいた下手花道にメンバーが来た際に間近で確認したあやぱむの鍛えられた腹筋と小柄な体から発するアイドル性には確かに惹かれるものがあると得心した。ぺろりんは逆にパフォーマンス中は気配を消すことが多くモーニング娘。時代の久住小春の姿と重なるところがあった。さすがに性格はあれほど破たんしてはいないだろうけど。そしてみとちゃん(紫)はみとちゃんだった。

 コールは定番のMIX基本3種(英和アイヌ)とホワホワ・オーイングのコンボこそ周囲含めて全体で対応できていたものの、メンバーの振りや歌詞に応じてイレギュラーに入る合いの手やオーイングの場合は局地的に発生しては埋もれていくこともないではなかったが、「この恋、弾丸ライナー」のカキーンというメンバーの掛け声に合わせて素振りを行う振りは2回目にはほぼ全員が対応できるようになっておりまさにコールの生成過程を目の当たりにする思いであり感動さえ覚えた。このようにファンによる自発的なフィードバックが会場から自然発生的に湧き上がった場合の一体感による高揚こそライブにおける演者と観客による価値共創の本質であろう。ちなみにチクセントミハイの唱えるフロー感覚は自身の心理エネルギーが100%ある事物に注がれる状態にあるときに得られる集中力と高揚した感覚と言われているが、ライブにはまさにフローが発生する下記の条件が整っている。

 1.自分の能力に対して適切な難易度のものに取り組んでいる

 2.対象への自己統制感がある

 3.直接的なフィードバックがある

 4.集中を妨げる外乱がシャットアウトされている

 ライブでは3.4.の条件は自明であるためフロー感覚へと至るために重要なのは1.「能力に対して適切な難易度」と2.「自己統制感」である。例えば今回のワンマンで唯一「ドラマよりもドラマティック」(以下「ドラドラ」)では口上(長い間奏などでファンの思いの文章を拍に合わせて叫ぶ技。スタンダードなものは「言いたいことがあるんだよ~」で始まる)が入るがさすがに知らなければこれを唱えることは不可能だ。またコールはあくまで自主的な行為という点が重要なのであり、1.の難易度と表裏一体にあり、その場で聞いてすぐに自ら発することのできるアクションであることが重要である。演者によっては曲の前に「この部分は~してほしい」などの要求を行う場合や演者自身が会場に向かって「オイ!オイ!」などと手を突き上げながら叫びオーイングを促す「煽り」を行うことがあるが、前説の興ざめなことは論外として「煽り」もまたやらされている感覚からは逃れられないため一定の満足感はあってもフローに至るのは困難だ。ちなみに口上は難易度が高いだけに自身で発することができれば高い充足感を得られるのではないかと推測する。2chのアイドル版ベボガ!スレで「ドラドラ」の変形MIXと口上を紹介していたので記載しておく。

 

ドラドラMIX:

 あーいっくぞー

 うりゃおい×4

 あーまだ行かない

 うりゃおい×4

 あーまだ行かない

 いついくの?いまでしょ!

 あージャージャー

 ファイボーワイパーファーマージャスパーホワイパークーパーイエスクレイパー

 

ドラドラ口上:

 変わらぬ愛が側にあり

 世界を彩る花達は

 凛と冬を耐え忍ぶ

 春には笑顔になれるから

 俺らと歩もう第2章

 夢見る舞台に行く道は

 ドラマなんかじゃないんだよ

 いつでも同じ夢を見て

 

 「この恋、弾丸ライナー」でアンコール前ラストを盛り上げた後、最前のオタクの先導によりやや長めのアンコールコールに続いてメンバー登壇。虹コン黄組としての再出発をうたった復帰後第一弾シングル「かちとばせ!栄光のレインボー」のc/wである「エピソード2U」では歌詞と復帰前後の自身の記憶や想いが交錯し泣き崩れて歌えないメンバーも。ラストのMCはそれぞれが想いを簡潔に伝える中、最年長で当日成人式を迎えるぺろりんがまとめられずぐだぐだになっていたのが印象的。サプライズとして当ライブのDVD発売、1stアルバムのリリース、復帰後セカンドシングル「ドラマよりもドラマティック」がフジ系アイドル番組「アイドリアル」の1月のedテーマに決定の発表があり、メンバーも語ったようにさらに上を目指していくにあたって明るい雰囲気の中で終わった。このクラスの会場で本当は活躍してほしいリンクSTAR’sが自爆気味に悪手を打って自ら停滞を招き当面上がり目が期待できない中、ベボガにはぜひ頑張ってほしいところだ。

 

セトリ(樋口彩ブログから)

SE

勝利の女神

②CHANCE

MC

③ベボガメドレー

1.手のなる方へ

2.リアルな獣を呼び覚ませ

3.不意打ちのラブリーキス

4.ヒーローインタビュー

5.泥だらけチャレンジャー

6.ココロ×クロスゲーム

VTR

④かちとばせ!栄光のレインボー

⑤トライアングル・ドリーマー

⑥純情涙カタルシス

⑦ドラマよりもドラマティック

MC

⑧同じ夢を見て

⑨この恋、弾丸ライナー

アンコール

⑩エピソード2U