AKB48 49thシングル選抜総選挙雑感

 617日(土)にAKB48の第9回総選挙の開票が行われ、総投票数は過去最多の3382368票を集め、同じく過去最多の246376票を獲得した指原莉乃3連覇を果たした。初めての沖縄での開催、そして悪天候による開票イベントの中止と無観客開票、須藤凛々花の結婚宣言などの話題により今年も注目を集めたアイドル界の一大イベントについての雑感を記す。

 昨年、初めて前年実績を割った総得票数は回復、過去最多を記録した。同様に過去最多得票を集めて1位をキープした指原だが、ここ数年、得票からは指原の独壇場となっていることが見て取れる。ここ3年ほどの総得票数は多少の増減はあるものの大きく変わらない。一方で明らかにかつての神セブン、上位7名の全体に占める得票比率は右肩下がりで寡占化は緩和され全体的にはいよいよロングテールの様相を強めている。その中で1位獲得者の得票比率だけが上昇を続けており明らかに指原一強の様相を呈しているのである。

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 かつて地上波の常連だったAKB48のメンバーながら昨今は乃木坂などに押され振るわない中、その類まれなるトーク能力によりバラエティで引っ張りだこの指原のみが芸能人として突出した知名度を誇る一方で残るメンバーの支持が伸び悩むのはある意味当然とも言える。バラエティ番組を見て指原のファンとなり彼女のAKB48としての活動にまで踏み込む者がどれだけいるかは未知数だが、元々の指原ファンであれば他のメンバーよりも彼女の活躍する姿を見る機会が増えることは確かであり、それがまた彼女への支持を強固にしているとは言えるのかもしれない。それがAKB48にとって歓迎すべきことなのかはわからないが、アイドルファン、特にハロプロ好きとして知られる彼女が様々な場でモーニング娘。に言及している事実はハロヲタとして有り難く感じているのもまた確かである。

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 古参の上位メンバーの卒業や参加辞退により順当に繰り上がったメンバーが多い中、今年の目玉はやはり荻野、中井といった新潟勢であろう。また昨年は圏外で得票が速報値しか明らかでないため比較のベースとするには問題があるが前年比で2817%(つまり約30倍)と激増させた荻野由佳、1097%(約10倍)中井りかの他、860%の後藤楽々(SKE48のチームE)、834%福岡聖菜AKB48チームB)、688%加藤夕夏NMB48チームM)、658%市川美織NMB48チームN)、508%村瀬紗英NMB48のチームBⅡ)など前年の数倍もの得票を獲得するメンバーが少なくなかったことが特徴的と言える。これは昨年、前年比で一番伸ばした向井地美音の伸長率が156%に過ぎなかったことを考えるといかに大きな振れ幅であるかよくわかるだろう。昨年の得票が少なかったことによる反動と言えるが過去このように前年比で数倍から数十倍という等比級数的な伸びを示したメンバーはいなかっただけにこの変化は注目される。かつて神セブン全盛期はTVへの露出がそのまま総選挙の順位に反映されていたが先述したように指原以外は地上波で見ることすら珍しくなっってきただけに、マスメディアを介さない活動がより重視されてきていることを示すのだろうか。例えばShowroomでは24時間常に48グループの誰かが配信を行っており多数の視聴者を集めている。こうした遠隔地であってもメンバーの素の姿を映像と音声で感じることのできるプラットフォームの普及はロングテールのテールにあたるメンバーにも等しくチャンスを与えているということができるのか。今後の動向が注目される。

 さて須藤凛々花である。個人的にはアイドルとファンは虚像としてのアイドルに纏わる世界観の共同構成者であり、共同制作者であり共同受益者であると理解している。その関係性は不文契約のような不文律に支配されており、その虚像の核心ともいえるべきアイドルの処女性については過去も含めて神聖にして侵すべからざる領域であり、暗黙の了解によりその神域に踏み込むことは何人たりとも許されない。それについての神秘性の保守はアイドルによる善管注意義務とも呼ぶべき最低限遵守すべきルールである。須藤はその基本的責務を自ら破った挙句にファンへの感謝を述べるべき場において虚構を虚構であると宣言することでその関係性を規定する双務契約を一方的に破棄した点について断罪されるのは当然である。しかしながら「初めて人を好きになりました」という彼女の言葉の物悲しい響きはどうだろう。渡辺麻友をはじめとする現役のメンバー、OGも含めてAKB関係者は概ね彼女の言動に否定的であるという(以前、こじはるに対して「総選挙で結婚発表したらおもしろい」と発言していた秋元康は別として)。それは彼女たちが虚構を演じるために払ってきた努力と犠牲を無にするものだからだ。まゆゆの「やってくれたな」と言わんばかりの苦悶の表情は須藤の発言と対をなす今回のハイライトだろう。ファンのために青春を捧げ虚構の維持のために自ら進んで殉じるまゆゆの敗北の瞬間である。虚構などないと宣言し自らの人間性を開放してしまった須藤の体現した容赦ない現実性を前にアイドルファンはまた自らの献身により支えてきた虚構の伽藍を前に煩悶するのである。

2017年5月12日(金)TECH TALK LIVE 「アイドルソングの作り方」@Rock oN Company 渋谷店

 らぶどるやドルエレなどに楽曲提供するCHEEBOW氏の講演。個人的にはLasRabbiの「きっとぐっとサマーディズ」(元はPIP曲)、「Last Rabbit」、「絶望ロンリネス」の作曲者として身近な存在。

 LasRabbiがCDを出さないので権利関係が気になって聞いてみたのだけどライブアイドル界隈の請負形態は売切りが多いそうだ。つまりCDなどをリリースした場合の印税などは放棄した形。しかしながら業界の慣習に則って文書での契約などを交わすわけではないから信頼関係がないと後で揉めることも。先日、PIPを不本意な形で終わらせてしまったプロデューサとして濱野智史氏が(なぜか)謝罪会見をニコ動で生放送した際、PIPのある曲をどなたでもライブで自由に利用してよいと発言。それに対し作曲者が即座にツイッターで「ちょっと待て俺は聞いてないぞ!」と反応する場面があった。これは濱野氏が著作権に理解がないのではなく、おそらく買い取りの形態だったため使用権は買い取り側に移転しており作者への照会不要と考えたためと思われる。基本的には上記のように売切りの場合処々の権利は買い取り側に移転してると考えてよいと思われるが、文書契約を交わしていない曖昧な状況下において「仁義を切る」形で一言確認しなかったことが作者の逆鱗に触れたようだ。契約による権利移転の確証がない以上、作者側に著作権を主張できる根拠があるわけで、このあたりの機微についてCHEEBOW氏も「信頼関係」として言及していたのだろう。

 作曲の依頼の形態は大きく分けて二つ。上記のように直接依頼を受けるもの、そしてオーディションである。オーディションはAKBやハロプロなど大手では当たり前のように行われているが通常、作家事務所などに所属していないと声もかからないとのこと。個人で請け負っている作曲家はその点で人脈が大事になりそう。オーディションの場合、情報開示から提出まで10日程度しかないのでとにかく時間との勝負だとか。個々の依頼の場合にはもう少し余裕が持てるので3W程度あれば一曲仕上がるのだが並行して受けることも考え1か月程度見てもらっているとのこと。自分で作詞からアレンジまでこなす人であればもう少し詰められるのかもしれないがCHEEBOW氏は詞と編曲は第三者に委託するため受託者の工程分についても余裕をもたせている。

 さて肝心な曲の作り方だが、基本的にコードから入るとのこと。当日は王道進行ということでF→G→Em→Amを選択。少し味わいを変えるためEmとAmをセブンスに。そしてメロディ、ドラム、ベースと重ねていく。シーケンサソフトCubaseを使うとこのあたりの処理はかなりスムースに出来るようだ。また各楽器の音色も高価なソフトを入れておくとプリセットでかなり完成度の高いフレーズを入れ込むこともできるようだ。Blue2というソフトはコードを指定するだけで複雑なアルペジオのパターンを鳴らしてくれるためかなり使い勝手がよさそうに思えた。

 曲作りの際にはメロディーの断片をたくさんつくるよりもとにかくワンコーラスまとめてみることが大事だとか。いろいろなコード進行を勉強するためには楽器店や書店で売っている歌謡曲の歌詞とコード集がよいとのこと。それをもとに少しずつアレンジを加えることで独自のコード進行ができる。そこに乗るサビができたらBメロ、Aメロと作りこんでいく。アイドルの楽曲の場合、注意すべきは音域。CHEEBOW氏の経験則で大体今の女の子の声の出る範囲はC→E♭なのでほぼCmのコードに相当。そのため変化をつけるための転調も下方向にずらす短三度転調が便利。

 作曲の実演はCubaseにコードを打ち込んでそこにメロディやリズム隊、オケを入れていく形であっという間に出来上がっていく。自らは楽器はほとんどできないというCHEEBOW氏がPC上で作動するDTMソフトにインターフェイスとなる鍵盤キーボードで淡々と打ち込んでいく様は、これなら自分でも出来そう!と思わせるに十分だった。アイドルとしてある程度長期に活動することを考えている場合、自分で曲を作れるというのはコストの面からも音源使用の自由度から考えてもかなり有利だ。ピアノなど楽器の弾けるアイドルは作詞も含めて自力で楽曲作成に挑むのは悪くないのではないだろうか。

2017年5月22日 Buono!ライブ2017 〜Pienezza!〜@横浜アリーナ

 嗣永桃子の引退に伴う Buono!の実質上ラストライブ。もう一週間以上前のことなので備忘録として。(セトリは末尾にとざまさんのツイートから)

 昨年の武道館はチケットが取れなかったので日本橋のライブビューイングで見ていた。それほど混んでないしビールを飲みながらコンサート観戦できるのでこれはこれで悪くない。現場だと振りやコールを気にしたりでパフォーマンスに集中できなかったりするし、このクラスになるとステージが遠くてどっちにしても巨大モニターを凝視することになるので。とはいえさすがにラストではあるし日本青年館Zepp東京でのライブの楽しさも忘れられず横アリ参戦へ。

 横アリはおそらく2010年の亀井ジュンリン卒業以来7年振り。円形のセンターステージということでまさに360℃対応、どこから見てもメンバーの誰かがこちらを向いてくれているのでそれほど違和感はない。ところで前週のアンジュでは幸いなことに(興業的にはよくないが)両隣が空いていたので周りをそれほど気にしなくてよかったのだが、さすがにBuono!メンは女子に人気。両隣を若い女子に挟まれて大変大変気を遣う。そして寂しいことに女子はサイリウムは振ってくれるのだけどほとんどコールをしない。というかしていても聞こえない場合がほとんど。なので「オイ!オイ!」と必死に叫ぶ声が虚空に吸い込まれていく虚しさはにんともかんとも。暖簾に腕押しというか打っても響かないというか。。。

 ただBuono!コンの良さはコール入れたりジャンプしたりといったアクティブな参加だけでなく三人の歌を楽しめるところだ。中盤に夏ダカラ!、うらはら、Blue-Sky-Blueを経てアコースティックアレンジでそれぞれのメンバーが中心となる三曲(みや:消失点、あいり:Over The Rainbowもも:I Need You)という流れでは完全にアレンジの良さもあり三人の歌に魅了された。この三人を集めたときにキッズの歌唱メン揃えてきたなと身構えたものだが、ハローとは一線を画す方針だったのか、2012年の指祭りまでこれといった外仕事もなくまさに飼い殺し状態でもったいないことをしたとつくづく思う。松浦亜弥が退いて以来、ハローのコンサートで歌を聞かせる場面はめったになくなってしまったが、Buono!はそれができる稀有な存在だったのだ。ベリや℃のコンサートでのソロでもそのような瞬間があったのかもしれないがベリはあまりにもおちゃらけて楽し過ぎた。℃はそもそも最初の武道館しか行ってない。だからこの数年間、筆者はハロプロのコンサートで歌を楽しむという習慣がほとんどなかったことに改めて気づかされた。

 のびやかで澄んだ声質のみやとあいりに対しややハスキーでグループにアクセントを与えるももの声が特に好きだ。コンサート後に出演したヒャダインのラジオ(ガルポプ)で自分で歌がうまいとは思わないが声はいいと思うと語っていたもも。音程は安定しているし延ばした音の処理に少し手こずるところを除けば十分にうまいと言って差し支えないももの歌唱力だが、自分の歌を客観的に聞くことができていればこその言葉だろう。JAPANハロプロNETWORKかハロードライブだったかのラジオで細かすぎて伝わらないハロ曲の好きなポイントというコーナーでMY BOYでのもものパート「今日の風は今日しか吹かないから」の「から」の発声が特に好きだという投稿があったが、まさにそれ!と手を叩いたものだ。この声でもっとロックな曲が聴きたかったのだがベリはなんだか変な路線に行ってしまったしね。

 それにしてもあっという間の3時間強だった。ゲストはそれぞれ2曲ずつしか歌わなかったのに。みやのPINK CRES.はうぇいうぇい系でハロヲタには評判よくなさそうだが、E-Girlsをポップにしたような曲調は楽しくて悪くない。みやの歌唱力が生きるようには思えないが。みやといえば昨年の武道館ではベリの休止以降ブランクが空いてしまったせいか随分と調子を落としてしまった感は否めなかったが、今回は復調。昨年よりはずっとコンディション上げてきていたと思う。ただし透明感は失われた感が。代わりに声に芯が出てきたような気はするのだが今さら声変りでもないか。ピンクレは(この呼び方ピンチケみたいで気に入っている)どうも地下アイドルとは相いれない路線らしくなかなか会う機会のないのがつらい。先週は山中湖でのマラソンのイベントに呼ばれてたし。カントリーはオールディーズ路線がすっかり定着してハローの中での一定位置を確保することはできたように思えるがもも以降が課題か。℃-uteはさすがの貫禄で安定。SSAの箱の大きさに油断していたらまさかのチケット瞬殺。当日はライブビューイングかな。

 今回ライブでは初めて聞いた夏ダカラ!とやはりライブでは久しぶりのゴールが大変大変よろしかった。夏ダカラ!は8ビートの多いBuono!にあって4ビートのゆったりとした曲だけに当初シングルとしてはどうかと思ったが聞きこむととてもよい。今回のライブでは特に三人のハーモニーがきれいに処理されていてとても心地よかった。あんな大きいホールなのにこれは感心。そしてゴール。生バンドらしくギターをフィーチャーしたアレンジとシンセの壮大なオーケストラがこれまた気持ちよく響いて聞き入ってしまった。

 アンコールでのKiss!Kiss!Kiss!~たまにヘコんだら昼まで寝てればいい~の後のお約束のお昼寝タイム、ここでのももの二人へのメッセージの言葉とそのやさしい口調に顔をくしゃくしゃにして泣き顔をこらえるあいりの顔のアップで涙腺崩壊。みやへのメッセージをよく覚えてない上にみやからのももへのメッセージ…と思わせて曲に入るという落ちにうまく笑えないくらいに動揺してしまった。Buono!でのあいりは℃のメンバーといるときとは違って最年少だから思い切りみやとももに甘えてリラックスしきってとにかく楽しそうな印象が強かったからこの部分は効いたな。もう、この部分のももの朗読を聞くためだけにブルーレイ買いたい気分(うちはまだDVD)ホントのじぶんでメンバーはけてからも両隣の女の子がまだ帰らずにモニターのスタッフロール見ながらBGMのロックの神様に合わせてサイリウム振ってくれてたのはちょっと嬉しかったかな。

 

アンジュルム コンサートツアー 2017春 ~変わるもの 変わらないもの~@日本武道館

アンジュルム コンサートツアー 2017春 ~変わるもの 変わらないもの~ 日本武道館公演

 

 あいあい(相川茉穂)不在の8人でのツアーラスト。チケットの売れ行きが心配されたものの当日券が200枚さばけたとのことで(あやちょ談)スタンド上方までそれになりに埋まりガラガラ感はなんとか回避。それにしてもチケの売れ行きが悪いことはメンバーも相当気にしていたようでMCでも何度も話題に。特にたけちゃん(竹内朱莉)の「最初スタッフさんから『半分しか売れてないよ』と言われてどうしようかと思った」とのコメントには客席から苦笑が漏れた。来年は発表度同時に瞬殺だからすぐ買わないとなくなるよ、との強気のコメントは頼もしいがまろ(福田花音)、めいめい(田村芽実)とここ一年半程度で失ったパフォーマンス(特に歌唱力)上の戦力は埋め切れていないとの印象だけに楽観はできないか。

 序盤は本日解禁の新曲の固め打ちで会場もやや様子見という感じながら一曲目の「I無双strong!」(タイトルにはあえて突っ込まないが…)はコンサート一曲目で期待感を煽るなかなかの良曲。後程あやちょ(和田彩花)から説明があるが今回のセットリストはスマイレージ、アンシュルムの曲を何曲か集中して交互に演奏し双方のコントラストを狙ったとのこと。前半はアンジュルムとしてのイメージが固まる前の新曲とスマイレージ時代の曲中心。MCを挟んでアンジュの定番曲を避けた(ファンの好みにもよるが)ラインナップ、再びスマイレージ、MC、アンジュルム定番曲という流れ。今までスマイレージ時代の曲でアンジュルムのファンが盛り上がることに違和感を覚えていたというあやちょだが、この構成により自らの歴史を客観的に振り返ることができたのだろう。これもありだと。

 大器晩成からの怒涛の終盤はエネルギッシュなアンジュルムそのもの。最初から飛ばすというよりはアンジュ、スマ曲群を交互に配し徐々に盛り上げて最後に爆発させるよく考えられた構成。言い過ぎかもしれないがまるで4楽章構成の交響曲のような各楽章の配置。アンコールでのナミダイロノケツイはむろ(室田瑞希)、りかこ(佐々木莉佳子)、かみこ(上國料萌衣)の三人の歌唱組と残りのダンス組と最近の娘。でもおなじみの構成。まるで休養中のあいあいに向けたメッセージかのような情緒的な歌詞のせいもあるのか同期の二人と加入時期の近いかみこによる重唱はバラードでありながら芯のある重厚なハーモニーで魅了。現在のメンバーでは歌唱メンとしてたけちゃんが突出している印象が強いが、この三人も成長著しいことが伺えて頼もしく思えた。そしてアンコールラストはこれまた定番の友よ。

 成長といえば今回一番の成長が伺えたのはかっさー(笠原桃奈)だろう。もともと大きいダンスや中学生としては安定した歌に加え顔の表情が実に豊かに。昨秋加入直後のリリイベでは堅い表情で笑顔も硬直していた印象が強いが心底楽しんでるのであろうと思わせる満面の笑顔を見るにこの半年強での経験値の大きさは計り知れないものがある。

 今回は卒業者のいない純粋にライブを楽しめる舞台のはずがMCではかっさーはじめかみこ、りかこ、むろと年少メンがことごとく落涙。かっさーの感受性の強さは当初の無表情な印象の強さからとにかく意外、りかこの幼女泣きの顔芸とむろの涙もろさも相変わらずだが気の強そうなかみこの涙はこれまた意外。かななん(中西香菜)とりなぷー(勝田里奈)を意識する場面はほとんどなかったのだが地味に安定してパフォーマンスを支えていたということなのだろう。

 それにしてもアンジュルムのライブのおもしろさは多分にファンによるコールの完成度が支えていると常に実感する。特にハロプロでも屈指の高速BPMを誇る「出過ぎた杭は打たれない」における「そう雰囲気」オイ!「空気」オイ!の合いの手のリズムの正確さはあれだけの観客がいてなお揃ってしまうのは驚異的だ。それほど多くはないライブやホールコンサートで培ってきた統率されたファンのコールはどちらかというと振りコピ派が優勢な今のハロプロではやはり特筆すべき存在と思える。

 

セットリスト

01.I 無双 strong! ※新曲、シングル未収録

02.愛のため今日まで進化してきた人間 愛のためすべて退化してきた人間

03.愛さえあればなんにもいらない ※新曲

04.涙は蝶に変わる

05.ぁまのじゃく

06.○○ がんばらなくてもええねんで!!

07.魔女っ子メグちゃん ※新曲

08.ショートカット

★MC① メンバー紹介

09.恋ならとっくに始まってる

10.糸島Distance

11.乙女の逆襲

12.忘れてあげる

13.ミステリーナイト! ※曲前にVTR

14.さよなら さよなら さよなら

15.嗚呼 すすきの

16.同じ時給で働く友達の美人ママ

17.有頂天LOVE

★MC② 4人ずつMC

18.大器晩成

19.次々続々

20.ドンデンガエシ

21.出過ぎた杭は打たれない

▽アンコール

22.私の心

★MC③ 感想

23.ナミダイロノケツイ ※新曲

 

ぴーちゃん@6/12℃-ute解散SSA(@phityan)さんのツィートより引用

 

2017年4月12日(水)少女第九楽章-ガールズアンセム-3ヶ月連続無料公演 『試験的旋律-ベータコール-1』@セルビアンナイト川崎

 川崎で無銭!ということでGO。出場はリリックホリック歌劇団、Aphrodite、Splash!、ガルアンの4組。セルビアンナイトは初めて入ったが、ステージ高め、フロアも広くて見やすくよい会場。5月、6月にもガルアン主催で平日無銭を行うとのことなので期待大。

 先頭、リリックホリック歌劇団歌劇団というだけあって歌唱力が尋常でない。ハイトーンでちり緬ビブラート効かせるとは素人の技ではない(当たり前。)三人組の誰が誰なのか名前も判別できなかったがみな実力は高そう。楽しそうなグループ名なのにゴリゴリのデスロックでヘドバンしまくりのギャップがおもしろい。まるで浜田麻里が三人いるみたいなハイトーンの応酬に筆者も力が入る。こんな凄いボーカルがいればまともなガールズ・デスメタルバンドが三組くらいできそうなことを考えるとなんともったいない…というか豪華な使い方。ハモリもきれいにキメてたと思う。昔モーターヘッドの音がゴリゴリ過ぎて怖くて聞けなかったのが笑えるほど今や日本のアイドルの方がデスヴォイス全開で超ハード。これにはマーティもびっくりだろう。

 二番手Aphrodite。客席に急に3~4歳児くらいの子供二人登場でこちらに気を取られる。お客さんのお子さんらしいがハロプロなどの健全なライブであればともかくデスヴォイス全開のハードなライブの現場で見るとかなり驚く。ただし当人たちは慣れてるのかサイリウム振りながら結構ノリノリ。他のファンも毎度のことなのかニコニコして子どもが来たらしゃがんで一緒にサイリウム振ってあげたり、抱っこしてステージ見せてあげたりとアイドルオタク優しい。というわけでAphrodite、これまたゴシックメタルを志向する耽美的なビジュアル系アイドルだかリリホリの後だけに比べてしまうと厳しい(というかあちらが規格外か。)ビジュアルは優っているように思えるがアイドルはそれだけではないからね。それにしてもハードな音作りが二組続くと相当疲れる。

 というところで一服の清涼剤的なSplash!。一人で出てきたから他のメンバーお休み?と思ったら今は一人で活躍中とのこと。里田まいカントリー娘。)みたいなものか。こちらもアップテンポで勢いはあるもののシンセとギターのバランスがよくて聞きやすいハードポップ?な感じ。物販ではCDを半額で販売中とのことでお買い得。疲れたので物販遠慮してしまったのが悔やまれる。曲もよいし歌、ダンスともにパフォーマンスの水準も高いし、客席の煽りも堂に入っていて安心して盛り上がれる職人の仕事を見たという感じ。

 そして主催でありラストを飾る少女第九楽章-ガールズアンセム-ビジュアル面では頭ひとつ抜けており、楽曲やパフォーマンスも悪くない。他のグループの激しいパフォーマンスに疲れた後では見た目の爽やかさもあってヲタの心と体に優しいライブパフォーマンス。メンバーは4人とのことだが当夜は3人の出場。センターの宮澤美琴(名前だけで既に推したくなる)は均整の取れたスタイルに往年のセクシー女優朝河蘭を彷彿とさせる大人びた表情で観客(というか筆者)の視線を釘付けに。また最年少の此花佳桜は中学生ながら170cm超というモデルのようなスタイルで思わず見とれてしまう。そして当日、約ひと月ぶりに復帰を果たしたという雪白ひまり。当人から挨拶があるとのことでファンが一旦腰を落として聞く体制に入ると何やらツイッターで何か都合の悪いことをつぶやいてしまい、関係者に迷惑をかけしてまったとのこと。まあ、年齢も低そうだし(JCかJKくらい?)若気の至りというのはあるよね、ふーん。という程度で聞いていたのだが何だか会場の雰囲気が変。ふつう、こういう場合、もっと温かく「おかえり!」とか「待ってたよ!」とかの声が上がっておかしくないのだが、観客はひたすら静か。んー何があったんだろうと気になる中、やたら緊張した面持ちのひまりちゃんが感極まって落涙。それでも静かな客席。うーん、とうなっている間にもパフォーマンス再開、そして観客への謝罪コメントを終えて緊張の糸が切れたか上演中にもまた嗚咽を漏らす場面が。なんだかよくわからないうちに終わってしまい狐につままれたような心持のまま帰途に。ところがネットで調べたとたんに疑問は氷解。しばらく前に地下アイドル界隈で話題になった裏垢で待遇の不満を呟いて音信不通になった子だった。これだけならよくあることだが(よくはあるが普通戻ってこない)そもそもこの事象に対して現役メンバーが(つまり美琴氏)がプログで批判したことで事件は発覚、まとめられた経緯がある。これは結構辛辣。年齢やその行動から考えるにまだ幼さの残る少女であろうにここまでこじれた環境に戻ってくるには相当な勇気が必要だったであろうことは想像に難くない。そもそも、まとめの記事を見るにこの少女に同情すべき点は多々あるように感じられるのだが、会場の雰囲気は「よく戻ってきたね(o^―^o)ニコ」というよりは「よく戻って来れたな(# ゚Д゚)」という感じ。古くから応援していたファンにはこの少女が入って間もないのによくしてくれたメンバーに後足で砂をかけて出ていこうとしたように見えたのであろうか。確かにステージ上で泣き崩れそうな少女を励まして支えた美琴氏の懐の深さは初見ながらも感じられただけにファンからの人望は高いのだろう。何気ない復帰セレモニーに見えた事象がこのような文脈を捉えた上で改めて振り返ると大変なドラマツルギーを包含したイベントとして記憶の中に立ち上がってくるからおもしろい。継続して見ていきたいグルーブだ。

2017年4月3日/5日 81moment/KNU 新曲リリースイベント@タワーレコード川崎店

81moment:名前はよく聞くのに対バンなどでも見たことがなかったので行ってみた。イベント前に店内で新曲を流している時点で良曲であることを確認。ファンはそこそこ。ガラガラでもなく溢れかえるほどでもなく。メジャー初リリースということになるシングル化の「UTAGEI」、そして猛烈にプッシュしているらしい新曲の「奇跡はすでに生まれてる」の他2曲ほど披露。5人という人数はバランスがよさそう。突出して人気のあるメンバーがいるというわけではなくコールも満遍なく寄せられている感じ。色分けされてメンバーも判別しやすい。アップテンポで爽快感のある良曲にキレのいいダンス、それなりに安定したボーカル。いわゆる沸き曲というのかファンのMIXやコールが店内に響き渡り大いに盛り上がる。音はボカロ系に寄ったややサイバーなつくりで新曲が突出して出来がよいだけに既存の曲は数曲続けて聞くとやや単調か。黄色い子がちょっと気になったのでもう少し様子を見てみたい感じだ。何しろ5/16発売の曲の販促である。まだまだリリースイベントを山ほど予定しておりどこかで見る機会はあるだろう。

 

KNU:KYONYUから取ったというグループ名だけにメンバー全員が巨乳という本格的なコンセプトアイドル。衣装も見事に胸の部分だけくり抜いて強調するスタイル。名前だけの出落ちで終わるかと思えば曲は意外に悪くない。また胸だけでなくビジュアルのレベルも高い。ダンスや歌もまじめに取り組んでいる様子が伺え他のアイドルと比べてもそん色はない。美人系のメンバーははっきり美人、可愛い系は正しく可愛いといういわゆるアニメの萌え系巨乳キャラがそのまま実写化されたかのようなゴージャス感がこのグループの強みか。もう少し不細工な子が混じっていればそれなりにリアル感というか生活感が感じられたはずだが、なにしろみな可愛いのでいい意味で現実感にとぼしい。キャラクタを突き詰めるとここに至るという見本のようなグループである意味現代を象徴するアイドルと言えるかもしれない。ファンの数も川崎店で見た中ではかなり多い方に数えられるだろう。テレ朝のアイドルお宝くじでも企画を勝ち上がって露出が増えているためさらに人気は増す気配。まさにおっ○いは正義。筆者の中ではCANDY GO!GO!のなぎさりん、G☆Girlsを経ていよいよ真打登場との感が高まっている。リリイベの特典も最大200枚でメンバーとキャンプ?というえげつない餌をちらつかせるあたり地下の手法そのものだがどこまで釣り上げられるか見もの。それにしても今回はメンバーの姿を追うのに必死でファンのコールとかまともに覚えていない。確認のためもう一度見る必要がありそうだ。

2017年3月27日(月)WHY@DOLL新曲リリースイベント@タワーレコード横浜ビブレ店

 ほわどるを見るのは1月のタワレコ感謝祭以来。相変わらず美しくプロフェッショナルな二人。タワレコ横浜ビブレ店にて2月に発売した「キミはSteady」のリリイベ。表題曲の他カップリングの「ラブ・ストーリーは週末に」、「菫アイオライト」など6曲(セトリは文末参照)を披露。ファンの年齢層は全体に高め、地下アイドル特有のMIXや「~ちゃん!」はおろかPPPH、オイオイやオーイングなどの定番コールも一切なし。ごくわずかにサイリウムなどを掲げる熱心なファンの他は基本的に手拍子でステージの二人が「次は~で!」と促されると指定されたポーズ(ピースなど)を真似るおとなしいスタイル。音楽も角松敏生を彷彿とさせる80年代のコンテンポラリミュージック風(跳ねるベース、踊るカッテイングギター、歌うサックス)、アダルト志向でアンチピンチケなチューンとなっている。同じような音楽を志向しながら東京女子流のように嫌味がないのはヲタを排除しない包摂的な雰囲気を醸し出しているせいか。(また女子流の音がつまらないのはダンス志向なためテンポが速い割にプラコン特有の音を重ねすぎてグチャっとした音像になってしまい耳障りが悪いため)ほわどると呼ばれるだけあってその緩いイメージ通りのややテンポダウンした曲はオヤジには大変心地よい。2回見てもいまひとつファンの特徴を捉えきれていないのだが、同じように楽曲へのこだわりの強いNegiccoなどに比べるとビジュアルの水準が高いためガチ恋もそれなりに多いのだろうか。オタクも十把一絡げでは語れないと実感。

 

セットリスト:

Gemini

キミはSteady

アイオライト

ラブ・ストーリーは週末に

あなただけ今晩は

秒速Party Night