2017年5月22日 Buono!ライブ2017 〜Pienezza!〜@横浜アリーナ

 嗣永桃子の引退に伴う Buono!の実質上ラストライブ。もう一週間以上前のことなので備忘録として。(セトリは末尾にとざまさんのツイートから)

 昨年の武道館はチケットが取れなかったので日本橋のライブビューイングで見ていた。それほど混んでないしビールを飲みながらコンサート観戦できるのでこれはこれで悪くない。現場だと振りやコールを気にしたりでパフォーマンスに集中できなかったりするし、このクラスになるとステージが遠くてどっちにしても巨大モニターを凝視することになるので。とはいえさすがにラストではあるし日本青年館Zepp東京でのライブの楽しさも忘れられず横アリ参戦へ。

 横アリはおそらく2010年の亀井ジュンリン卒業以来7年振り。円形のセンターステージということでまさに360℃対応、どこから見てもメンバーの誰かがこちらを向いてくれているのでそれほど違和感はない。ところで前週のアンジュでは幸いなことに(興業的にはよくないが)両隣が空いていたので周りをそれほど気にしなくてよかったのだが、さすがにBuono!メンは女子に人気。両隣を若い女子に挟まれて大変大変気を遣う。そして寂しいことに女子はサイリウムは振ってくれるのだけどほとんどコールをしない。というかしていても聞こえない場合がほとんど。なので「オイ!オイ!」と必死に叫ぶ声が虚空に吸い込まれていく虚しさはにんともかんとも。暖簾に腕押しというか打っても響かないというか。。。

 ただBuono!コンの良さはコール入れたりジャンプしたりといったアクティブな参加だけでなく三人の歌を楽しめるところだ。中盤に夏ダカラ!、うらはら、Blue-Sky-Blueを経てアコースティックアレンジでそれぞれのメンバーが中心となる三曲(みや:消失点、あいり:Over The Rainbowもも:I Need You)という流れでは完全にアレンジの良さもあり三人の歌に魅了された。この三人を集めたときにキッズの歌唱メン揃えてきたなと身構えたものだが、ハローとは一線を画す方針だったのか、2012年の指祭りまでこれといった外仕事もなくまさに飼い殺し状態でもったいないことをしたとつくづく思う。松浦亜弥が退いて以来、ハローのコンサートで歌を聞かせる場面はめったになくなってしまったが、Buono!はそれができる稀有な存在だったのだ。ベリや℃のコンサートでのソロでもそのような瞬間があったのかもしれないがベリはあまりにもおちゃらけて楽し過ぎた。℃はそもそも最初の武道館しか行ってない。だからこの数年間、筆者はハロプロのコンサートで歌を楽しむという習慣がほとんどなかったことに改めて気づかされた。

 のびやかで澄んだ声質のみやとあいりに対しややハスキーでグループにアクセントを与えるももの声が特に好きだ。コンサート後に出演したヒャダインのラジオ(ガルポプ)で自分で歌がうまいとは思わないが声はいいと思うと語っていたもも。音程は安定しているし延ばした音の処理に少し手こずるところを除けば十分にうまいと言って差し支えないももの歌唱力だが、自分の歌を客観的に聞くことができていればこその言葉だろう。JAPANハロプロNETWORKかハロードライブだったかのラジオで細かすぎて伝わらないハロ曲の好きなポイントというコーナーでMY BOYでのもものパート「今日の風は今日しか吹かないから」の「から」の発声が特に好きだという投稿があったが、まさにそれ!と手を叩いたものだ。この声でもっとロックな曲が聴きたかったのだがベリはなんだか変な路線に行ってしまったしね。

 それにしてもあっという間の3時間強だった。ゲストはそれぞれ2曲ずつしか歌わなかったのに。みやのPINK CRES.はうぇいうぇい系でハロヲタには評判よくなさそうだが、E-Girlsをポップにしたような曲調は楽しくて悪くない。みやの歌唱力が生きるようには思えないが。みやといえば昨年の武道館ではベリの休止以降ブランクが空いてしまったせいか随分と調子を落としてしまった感は否めなかったが、今回は復調。昨年よりはずっとコンディション上げてきていたと思う。ただし透明感は失われた感が。代わりに声に芯が出てきたような気はするのだが今さら声変りでもないか。ピンクレは(この呼び方ピンチケみたいで気に入っている)どうも地下アイドルとは相いれない路線らしくなかなか会う機会のないのがつらい。先週は山中湖でのマラソンのイベントに呼ばれてたし。カントリーはオールディーズ路線がすっかり定着してハローの中での一定位置を確保することはできたように思えるがもも以降が課題か。℃-uteはさすがの貫禄で安定。SSAの箱の大きさに油断していたらまさかのチケット瞬殺。当日はライブビューイングかな。

 今回ライブでは初めて聞いた夏ダカラ!とやはりライブでは久しぶりのゴールが大変大変よろしかった。夏ダカラ!は8ビートの多いBuono!にあって4ビートのゆったりとした曲だけに当初シングルとしてはどうかと思ったが聞きこむととてもよい。今回のライブでは特に三人のハーモニーがきれいに処理されていてとても心地よかった。あんな大きいホールなのにこれは感心。そしてゴール。生バンドらしくギターをフィーチャーしたアレンジとシンセの壮大なオーケストラがこれまた気持ちよく響いて聞き入ってしまった。

 アンコールでのKiss!Kiss!Kiss!~たまにヘコんだら昼まで寝てればいい~の後のお約束のお昼寝タイム、ここでのももの二人へのメッセージの言葉とそのやさしい口調に顔をくしゃくしゃにして泣き顔をこらえるあいりの顔のアップで涙腺崩壊。みやへのメッセージをよく覚えてない上にみやからのももへのメッセージ…と思わせて曲に入るという落ちにうまく笑えないくらいに動揺してしまった。Buono!でのあいりは℃のメンバーといるときとは違って最年少だから思い切りみやとももに甘えてリラックスしきってとにかく楽しそうな印象が強かったからこの部分は効いたな。もう、この部分のももの朗読を聞くためだけにブルーレイ買いたい気分(うちはまだDVD)ホントのじぶんでメンバーはけてからも両隣の女の子がまだ帰らずにモニターのスタッフロール見ながらBGMのロックの神様に合わせてサイリウム振ってくれてたのはちょっと嬉しかったかな。

 

アンジュルム コンサートツアー 2017春 ~変わるもの 変わらないもの~@日本武道館

アンジュルム コンサートツアー 2017春 ~変わるもの 変わらないもの~ 日本武道館公演

 

 あいあい(相川茉穂)不在の8人でのツアーラスト。チケットの売れ行きが心配されたものの当日券が200枚さばけたとのことで(あやちょ談)スタンド上方までそれになりに埋まりガラガラ感はなんとか回避。それにしてもチケの売れ行きが悪いことはメンバーも相当気にしていたようでMCでも何度も話題に。特にたけちゃん(竹内朱莉)の「最初スタッフさんから『半分しか売れてないよ』と言われてどうしようかと思った」とのコメントには客席から苦笑が漏れた。来年は発表度同時に瞬殺だからすぐ買わないとなくなるよ、との強気のコメントは頼もしいがまろ(福田花音)、めいめい(田村芽実)とここ一年半程度で失ったパフォーマンス(特に歌唱力)上の戦力は埋め切れていないとの印象だけに楽観はできないか。

 序盤は本日解禁の新曲の固め打ちで会場もやや様子見という感じながら一曲目の「I無双strong!」(タイトルにはあえて突っ込まないが…)はコンサート一曲目で期待感を煽るなかなかの良曲。後程あやちょ(和田彩花)から説明があるが今回のセットリストはスマイレージ、アンシュルムの曲を何曲か集中して交互に演奏し双方のコントラストを狙ったとのこと。前半はアンジュルムとしてのイメージが固まる前の新曲とスマイレージ時代の曲中心。MCを挟んでアンジュの定番曲を避けた(ファンの好みにもよるが)ラインナップ、再びスマイレージ、MC、アンジュルム定番曲という流れ。今までスマイレージ時代の曲でアンジュルムのファンが盛り上がることに違和感を覚えていたというあやちょだが、この構成により自らの歴史を客観的に振り返ることができたのだろう。これもありだと。

 大器晩成からの怒涛の終盤はエネルギッシュなアンジュルムそのもの。最初から飛ばすというよりはアンジュ、スマ曲群を交互に配し徐々に盛り上げて最後に爆発させるよく考えられた構成。言い過ぎかもしれないがまるで4楽章構成の交響曲のような各楽章の配置。アンコールでのナミダイロノケツイはむろ(室田瑞希)、りかこ(佐々木莉佳子)、かみこ(上國料萌衣)の三人の歌唱組と残りのダンス組と最近の娘。でもおなじみの構成。まるで休養中のあいあいに向けたメッセージかのような情緒的な歌詞のせいもあるのか同期の二人と加入時期の近いかみこによる重唱はバラードでありながら芯のある重厚なハーモニーで魅了。現在のメンバーでは歌唱メンとしてたけちゃんが突出している印象が強いが、この三人も成長著しいことが伺えて頼もしく思えた。そしてアンコールラストはこれまた定番の友よ。

 成長といえば今回一番の成長が伺えたのはかっさー(笠原桃奈)だろう。もともと大きいダンスや中学生としては安定した歌に加え顔の表情が実に豊かに。昨秋加入直後のリリイベでは堅い表情で笑顔も硬直していた印象が強いが心底楽しんでるのであろうと思わせる満面の笑顔を見るにこの半年強での経験値の大きさは計り知れないものがある。

 今回は卒業者のいない純粋にライブを楽しめる舞台のはずがMCではかっさーはじめかみこ、りかこ、むろと年少メンがことごとく落涙。かっさーの感受性の強さは当初の無表情な印象の強さからとにかく意外、りかこの幼女泣きの顔芸とむろの涙もろさも相変わらずだが気の強そうなかみこの涙はこれまた意外。かななん(中西香菜)とりなぷー(勝田里奈)を意識する場面はほとんどなかったのだが地味に安定してパフォーマンスを支えていたということなのだろう。

 それにしてもアンジュルムのライブのおもしろさは多分にファンによるコールの完成度が支えていると常に実感する。特にハロプロでも屈指の高速BPMを誇る「出過ぎた杭は打たれない」における「そう雰囲気」オイ!「空気」オイ!の合いの手のリズムの正確さはあれだけの観客がいてなお揃ってしまうのは驚異的だ。それほど多くはないライブやホールコンサートで培ってきた統率されたファンのコールはどちらかというと振りコピ派が優勢な今のハロプロではやはり特筆すべき存在と思える。

 

セットリスト

01.I 無双 strong! ※新曲、シングル未収録

02.愛のため今日まで進化してきた人間 愛のためすべて退化してきた人間

03.愛さえあればなんにもいらない ※新曲

04.涙は蝶に変わる

05.ぁまのじゃく

06.○○ がんばらなくてもええねんで!!

07.魔女っ子メグちゃん ※新曲

08.ショートカット

★MC① メンバー紹介

09.恋ならとっくに始まってる

10.糸島Distance

11.乙女の逆襲

12.忘れてあげる

13.ミステリーナイト! ※曲前にVTR

14.さよなら さよなら さよなら

15.嗚呼 すすきの

16.同じ時給で働く友達の美人ママ

17.有頂天LOVE

★MC② 4人ずつMC

18.大器晩成

19.次々続々

20.ドンデンガエシ

21.出過ぎた杭は打たれない

▽アンコール

22.私の心

★MC③ 感想

23.ナミダイロノケツイ ※新曲

 

ぴーちゃん@6/12℃-ute解散SSA(@phityan)さんのツィートより引用

 

2017年4月12日(水)少女第九楽章-ガールズアンセム-3ヶ月連続無料公演 『試験的旋律-ベータコール-1』@セルビアンナイト川崎

 川崎で無銭!ということでGO。出場はリリックホリック歌劇団、Aphrodite、Splash!、ガルアンの4組。セルビアンナイトは初めて入ったが、ステージ高め、フロアも広くて見やすくよい会場。5月、6月にもガルアン主催で平日無銭を行うとのことなので期待大。

 先頭、リリックホリック歌劇団歌劇団というだけあって歌唱力が尋常でない。ハイトーンでちり緬ビブラート効かせるとは素人の技ではない(当たり前。)三人組の誰が誰なのか名前も判別できなかったがみな実力は高そう。楽しそうなグループ名なのにゴリゴリのデスロックでヘドバンしまくりのギャップがおもしろい。まるで浜田麻里が三人いるみたいなハイトーンの応酬に筆者も力が入る。こんな凄いボーカルがいればまともなガールズ・デスメタルバンドが三組くらいできそうなことを考えるとなんともったいない…というか豪華な使い方。ハモリもきれいにキメてたと思う。昔モーターヘッドの音がゴリゴリ過ぎて怖くて聞けなかったのが笑えるほど今や日本のアイドルの方がデスヴォイス全開で超ハード。これにはマーティもびっくりだろう。

 二番手Aphrodite。客席に急に3~4歳児くらいの子供二人登場でこちらに気を取られる。お客さんのお子さんらしいがハロプロなどの健全なライブであればともかくデスヴォイス全開のハードなライブの現場で見るとかなり驚く。ただし当人たちは慣れてるのかサイリウム振りながら結構ノリノリ。他のファンも毎度のことなのかニコニコして子どもが来たらしゃがんで一緒にサイリウム振ってあげたり、抱っこしてステージ見せてあげたりとアイドルオタク優しい。というわけでAphrodite、これまたゴシックメタルを志向する耽美的なビジュアル系アイドルだかリリホリの後だけに比べてしまうと厳しい(というかあちらが規格外か。)ビジュアルは優っているように思えるがアイドルはそれだけではないからね。それにしてもハードな音作りが二組続くと相当疲れる。

 というところで一服の清涼剤的なSplash!。一人で出てきたから他のメンバーお休み?と思ったら今は一人で活躍中とのこと。里田まいカントリー娘。)みたいなものか。こちらもアップテンポで勢いはあるもののシンセとギターのバランスがよくて聞きやすいハードポップ?な感じ。物販ではCDを半額で販売中とのことでお買い得。疲れたので物販遠慮してしまったのが悔やまれる。曲もよいし歌、ダンスともにパフォーマンスの水準も高いし、客席の煽りも堂に入っていて安心して盛り上がれる職人の仕事を見たという感じ。

 そして主催でありラストを飾る少女第九楽章-ガールズアンセム-ビジュアル面では頭ひとつ抜けており、楽曲やパフォーマンスも悪くない。他のグループの激しいパフォーマンスに疲れた後では見た目の爽やかさもあってヲタの心と体に優しいライブパフォーマンス。メンバーは4人とのことだが当夜は3人の出場。センターの宮澤美琴(名前だけで既に推したくなる)は均整の取れたスタイルに往年のセクシー女優朝河蘭を彷彿とさせる大人びた表情で観客(というか筆者)の視線を釘付けに。また最年少の此花佳桜は中学生ながら170cm超というモデルのようなスタイルで思わず見とれてしまう。そして当日、約ひと月ぶりに復帰を果たしたという雪白ひまり。当人から挨拶があるとのことでファンが一旦腰を落として聞く体制に入ると何やらツイッターで何か都合の悪いことをつぶやいてしまい、関係者に迷惑をかけしてまったとのこと。まあ、年齢も低そうだし(JCかJKくらい?)若気の至りというのはあるよね、ふーん。という程度で聞いていたのだが何だか会場の雰囲気が変。ふつう、こういう場合、もっと温かく「おかえり!」とか「待ってたよ!」とかの声が上がっておかしくないのだが、観客はひたすら静か。んー何があったんだろうと気になる中、やたら緊張した面持ちのひまりちゃんが感極まって落涙。それでも静かな客席。うーん、とうなっている間にもパフォーマンス再開、そして観客への謝罪コメントを終えて緊張の糸が切れたか上演中にもまた嗚咽を漏らす場面が。なんだかよくわからないうちに終わってしまい狐につままれたような心持のまま帰途に。ところがネットで調べたとたんに疑問は氷解。しばらく前に地下アイドル界隈で話題になった裏垢で待遇の不満を呟いて音信不通になった子だった。これだけならよくあることだが(よくはあるが普通戻ってこない)そもそもこの事象に対して現役メンバーが(つまり美琴氏)がプログで批判したことで事件は発覚、まとめられた経緯がある。これは結構辛辣。年齢やその行動から考えるにまだ幼さの残る少女であろうにここまでこじれた環境に戻ってくるには相当な勇気が必要だったであろうことは想像に難くない。そもそも、まとめの記事を見るにこの少女に同情すべき点は多々あるように感じられるのだが、会場の雰囲気は「よく戻ってきたね(o^―^o)ニコ」というよりは「よく戻って来れたな(# ゚Д゚)」という感じ。古くから応援していたファンにはこの少女が入って間もないのによくしてくれたメンバーに後足で砂をかけて出ていこうとしたように見えたのであろうか。確かにステージ上で泣き崩れそうな少女を励まして支えた美琴氏の懐の深さは初見ながらも感じられただけにファンからの人望は高いのだろう。何気ない復帰セレモニーに見えた事象がこのような文脈を捉えた上で改めて振り返ると大変なドラマツルギーを包含したイベントとして記憶の中に立ち上がってくるからおもしろい。継続して見ていきたいグルーブだ。

2017年4月3日/5日 81moment/KNU 新曲リリースイベント@タワーレコード川崎店

81moment:名前はよく聞くのに対バンなどでも見たことがなかったので行ってみた。イベント前に店内で新曲を流している時点で良曲であることを確認。ファンはそこそこ。ガラガラでもなく溢れかえるほどでもなく。メジャー初リリースということになるシングル化の「UTAGEI」、そして猛烈にプッシュしているらしい新曲の「奇跡はすでに生まれてる」の他2曲ほど披露。5人という人数はバランスがよさそう。突出して人気のあるメンバーがいるというわけではなくコールも満遍なく寄せられている感じ。色分けされてメンバーも判別しやすい。アップテンポで爽快感のある良曲にキレのいいダンス、それなりに安定したボーカル。いわゆる沸き曲というのかファンのMIXやコールが店内に響き渡り大いに盛り上がる。音はボカロ系に寄ったややサイバーなつくりで新曲が突出して出来がよいだけに既存の曲は数曲続けて聞くとやや単調か。黄色い子がちょっと気になったのでもう少し様子を見てみたい感じだ。何しろ5/16発売の曲の販促である。まだまだリリースイベントを山ほど予定しておりどこかで見る機会はあるだろう。

 

KNU:KYONYUから取ったというグループ名だけにメンバー全員が巨乳という本格的なコンセプトアイドル。衣装も見事に胸の部分だけくり抜いて強調するスタイル。名前だけの出落ちで終わるかと思えば曲は意外に悪くない。また胸だけでなくビジュアルのレベルも高い。ダンスや歌もまじめに取り組んでいる様子が伺え他のアイドルと比べてもそん色はない。美人系のメンバーははっきり美人、可愛い系は正しく可愛いといういわゆるアニメの萌え系巨乳キャラがそのまま実写化されたかのようなゴージャス感がこのグループの強みか。もう少し不細工な子が混じっていればそれなりにリアル感というか生活感が感じられたはずだが、なにしろみな可愛いのでいい意味で現実感にとぼしい。キャラクタを突き詰めるとここに至るという見本のようなグループである意味現代を象徴するアイドルと言えるかもしれない。ファンの数も川崎店で見た中ではかなり多い方に数えられるだろう。テレ朝のアイドルお宝くじでも企画を勝ち上がって露出が増えているためさらに人気は増す気配。まさにおっ○いは正義。筆者の中ではCANDY GO!GO!のなぎさりん、G☆Girlsを経ていよいよ真打登場との感が高まっている。リリイベの特典も最大200枚でメンバーとキャンプ?というえげつない餌をちらつかせるあたり地下の手法そのものだがどこまで釣り上げられるか見もの。それにしても今回はメンバーの姿を追うのに必死でファンのコールとかまともに覚えていない。確認のためもう一度見る必要がありそうだ。

2017年3月27日(月)WHY@DOLL新曲リリースイベント@タワーレコード横浜ビブレ店

 ほわどるを見るのは1月のタワレコ感謝祭以来。相変わらず美しくプロフェッショナルな二人。タワレコ横浜ビブレ店にて2月に発売した「キミはSteady」のリリイベ。表題曲の他カップリングの「ラブ・ストーリーは週末に」、「菫アイオライト」など6曲(セトリは文末参照)を披露。ファンの年齢層は全体に高め、地下アイドル特有のMIXや「~ちゃん!」はおろかPPPH、オイオイやオーイングなどの定番コールも一切なし。ごくわずかにサイリウムなどを掲げる熱心なファンの他は基本的に手拍子でステージの二人が「次は~で!」と促されると指定されたポーズ(ピースなど)を真似るおとなしいスタイル。音楽も角松敏生を彷彿とさせる80年代のコンテンポラリミュージック風(跳ねるベース、踊るカッテイングギター、歌うサックス)、アダルト志向でアンチピンチケなチューンとなっている。同じような音楽を志向しながら東京女子流のように嫌味がないのはヲタを排除しない包摂的な雰囲気を醸し出しているせいか。(また女子流の音がつまらないのはダンス志向なためテンポが速い割にプラコン特有の音を重ねすぎてグチャっとした音像になってしまい耳障りが悪いため)ほわどると呼ばれるだけあってその緩いイメージ通りのややテンポダウンした曲はオヤジには大変心地よい。2回見てもいまひとつファンの特徴を捉えきれていないのだが、同じように楽曲へのこだわりの強いNegiccoなどに比べるとビジュアルの水準が高いためガチ恋もそれなりに多いのだろうか。オタクも十把一絡げでは語れないと実感。

 

セットリスト:

Gemini

キミはSteady

アイオライト

ラブ・ストーリーは週末に

あなただけ今晩は

秒速Party Night

濱野智史著「アーキテクチャの生態系 : 情報環境はいかに設計されてきたか(2008、NTT出版)」を読む

 2月11日に約1年半の沈黙を破り自らプロデューサーを務めていたアイドルグループPIPについての清算と途上でプロデュースを放棄したことへの謝罪と総括を行うとの触れ込みで行われたニコニコ生放送での会見。そこではひたすら謝罪に徹する彼の姿は見られたもののAKB48のファン時代からの自らのアイドルとの関わりについての総括はついに行われず多くの同会見視聴者の期待を裏切ることとなった。実際、ニコ生の放送枠を提供したPLANETS主催者でありAKBヲタの盟友である宇野常寛氏からもそうした総括は必要であり、自らの研究者としてのアウトプットとして世に出すべきであるとのコメントが聞かれた他、本会見に強い関心を持っていたと思われるロマンポルシェロマン優光もツイートで次のように語っている;「はまのんが本当にやるべきだったのはオタ~運営時代の冷静な総括で、気持ちはあるのだろうけど何も伝えられてないような奇妙な個別謝罪ではなかったとは思うんだけど。いや、予想以上にななめ下に飛んでいってる感じだったなあ…。」

 その濱野智史社会学者としての代表作「アーキテクチャの生態系」は2008年の発行であるから執筆時の情報環境を考慮すればほぼ10年前のインターネットをめぐる情報環境についての考察ということになり、通常であれば古さは否めない。なにしろフェイスブックツイッターもまだアメリカで産声を上げた直後で日本ではまだ野のものとも山のものともつかない状況であったのだ。しかしながらそこで彼が「アーキテクチャ」として紐解いたウェブを中心とするプラットフォームの仕組みに関する洞察は社会情報環境をテーマとする多くの研究者に少なからず影響を与え、多くの論文で引用されてきた。おそらく筆者も自らの論文執筆の際には本書で濱野氏が示したいくつかの概念を引用することになるだろう。移り変わりの激しいウェブテクノロジーの環境においてある一時点での状況を俯瞰して見通し各々の概念を整理したうえで生態系として提示された本書の内容を振り返り、彼のアイドル活動との関連について考察することはあながち意味のないことでもないだろう。

 本書はゼロ年代のWEBのあり方についてアーキテクチャとそれを取り巻く生態系という概念から紐解こうと試み、Webの覇者としてのグーグル、グーグルなきWeb進化の形態としての2chへの言及を行うとともに日米のSNSの差異について閉鎖性、儀礼的無関心などから読み解いていく。またファイル共有ソフトやニコ動に見る同期/非同期の問題、初音ミク現象とオープンソースに見るn次創作への言及、操作ログとしての携帯小説、そして日本に自生するアーキテクチャについて思いを寄せつつ閉める。

 特に2chのフロー、コピペ文化、匿名性といった特性が固定した一定の参加者による場の支配を排除する仕組みとなっている点を看破した点、また日本人特有の小集団内で閉じる気質を生かしたミクシィが執筆時点で最大のユーザベースを誇っていた点に関して山岸俊男氏の日本人の安心社会と米国人の信頼社会の概念を適用して説明する点に迫力がある。米国のように流動性が高い社会ではまず個人の信頼度を高くおいて修正していくほうが生産性が高い一方で、日本のように固定的な社会ではその個人が属する集団内において内輪を裏切らないことの合理性が高くなる。そのため、個々人に対する信頼性よりも個人がどこに属するかということを重視する傾向にあることを引き合いに出し、ミクシィのような招待制をとり、知り合いのみに開いたあり方が日本人にとっての安心を引き出すことで日本での最大ユーザ獲得につながっているのだと結論づける。濱野氏はこの時点でのミクシィのユーザー数1500万人という巨大なインストールベースによるネットワーク外部性を根拠にツイッターが日本で普及することはないだろうとしているが、これはその後のスマホブームやアラブの春などにおけるツイッターの存在感の浮上を予見できなければ無理もない話だ。

 不思議なのは複雑な社会の情報インフラにこれだけ鋭いメスを当てられる彼が会見で謝罪会見で見せた驚くべき幼児性というか非成熟性である。メンバーを恫喝するなどアンガーマネジメント能力の欠如に加えてビジネス面でのマネジメント能力が著しく欠けていたことを自ら反省点として述べているが、それを自覚しておきながらなおその補完のために指原莉乃高橋みなみの本にリーダーシツプの指針を求める態度にはもはや社会人としての常識を疑わざるを得ない、というのが正直な感想である。そこに見るのは恐るべきコミュ障の姿であり、そのキーワードによって彼が接触によりAKBにはまり、さらに接触のコストパフォーマンスを追及することで地下アイドルにはまり…というプロセスの背景がよく理解できるのである。彼が自らのアイドルとの関わりについて総括するならばコミュ障としての自覚、それを背景としての接触への惑溺という経験から現在の地下アイドルとファンの関係を規定するメカニズムについて言及するところから始めるべきであろう。彼に求められているのは、もう一切アイドルについては語りません関わりませんと宣言することではなく、自己の客体化によるファンとアイドルの関わり、それが日本の社会にとって何を意味するのかを明らかにすることにある。

2017年3月2日(木)G☆Girls新曲リリイベ@タワーレコード横浜ビブレ店

 帰り際にちらっと覗いたら凄かった。グラドルの寄せ集めっぽいイメージだったので歌やダンスはおざなりなんだろうと思っていたら意外にも曲がよくさらには振り付けなども本格的。おやじカメコが張り付いて粘着する地獄絵図を想像していたのだがまさかの撮影禁止。さすがにピンチケはおらずオタクの年齢層は高いがコールは通常の地下ドル仕様でMIXありありの声が出る出る。衣装の露出度が高くセクシーよりな立ち位置を除けば普通に本格的なアイドルだった。

 一曲目の「Shining Days」という疾走感のある曲が結構よくて耳から離れない。途中で音源が止まってしまうというハプニングはあったもののすかさずトークでカバー。こんな珍しいハプニングに遭遇できてよかったね、と切り返す機転の良さに好感。よくよく聞いたら結成6年にして初のメジャーレーベルでのリリースということでそれなりにキャリアを重ね(結成当初のメンバーはいないにしても)気合が入っていた模様だ。そして今回発売の「ダイヤモンドラブ」とC/Wの「FURACHI」がなかなかにエロティックな振りでオタクを悩殺。

 さすがに歴代のミスFLASH受賞者であるナイスバディな美女/美少女を集めただけにビジュアルは華やかであり「おっ○゜いは正義!」と叫びたくなるほどのスタイルの良さに目を奪われる。やはりアイドルとジェンダー、性の問題は切り離せないのだと強く実感。アイドル文化が根付くにはこのあたりのイメージを変えていかないといけないのだろう。彼氏にしたくないタイプとして若い女性から圧倒的な指示を受けるアイドルオタク。美少女に群がり幼い性を弄ぶ気持ち悪いオッサンという印象はなかなかに拭い難いものがある。このあたりの10年一日のアイドルオタクイメージを払拭するためにもやはり最先端のマーケティング理論であるサービスドミナントロジック視点でのアイドルと顧客の価値共創について早期に論じる必要があるようだ。