2017年4月12日(水)少女第九楽章-ガールズアンセム-3ヶ月連続無料公演 『試験的旋律-ベータコール-1』@セルビアンナイト川崎

 川崎で無銭!ということでGO。出場はリリックホリック歌劇団、Aphrodite、Splash!、ガルアンの4組。セルビアンナイトは初めて入ったが、ステージ高め、フロアも広くて見やすくよい会場。5月、6月にもガルアン主催で平日無銭を行うとのことなので期待大。

 先頭、リリックホリック歌劇団歌劇団というだけあって歌唱力が尋常でない。ハイトーンでちり緬ビブラート効かせるとは素人の技ではない(当たり前。)三人組の誰が誰なのか名前も判別できなかったがみな実力は高そう。楽しそうなグループ名なのにゴリゴリのデスロックでヘドバンしまくりのギャップがおもしろい。まるで浜田麻里が三人いるみたいなハイトーンの応酬に筆者も力が入る。こんな凄いボーカルがいればまともなガールズ・デスメタルバンドが三組くらいできそうなことを考えるとなんともったいない…というか豪華な使い方。ハモリもきれいにキメてたと思う。昔モーターヘッドの音がゴリゴリ過ぎて怖くて聞けなかったのが笑えるほど今や日本のアイドルの方がデスヴォイス全開で超ハード。これにはマーティもびっくりだろう。

 二番手Aphrodite。客席に急に3~4歳児くらいの子供二人登場でこちらに気を取られる。お客さんのお子さんらしいがハロプロなどの健全なライブであればともかくデスヴォイス全開のハードなライブの現場で見るとかなり驚く。ただし当人たちは慣れてるのかサイリウム振りながら結構ノリノリ。他のファンも毎度のことなのかニコニコして子どもが来たらしゃがんで一緒にサイリウム振ってあげたり、抱っこしてステージ見せてあげたりとアイドルオタク優しい。というわけでAphrodite、これまたゴシックメタルを志向する耽美的なビジュアル系アイドルだかリリホリの後だけに比べてしまうと厳しい(というかあちらが規格外か。)ビジュアルは優っているように思えるがアイドルはそれだけではないからね。それにしてもハードな音作りが二組続くと相当疲れる。

 というところで一服の清涼剤的なSplash!。一人で出てきたから他のメンバーお休み?と思ったら今は一人で活躍中とのこと。里田まいカントリー娘。)みたいなものか。こちらもアップテンポで勢いはあるもののシンセとギターのバランスがよくて聞きやすいハードポップ?な感じ。物販ではCDを半額で販売中とのことでお買い得。疲れたので物販遠慮してしまったのが悔やまれる。曲もよいし歌、ダンスともにパフォーマンスの水準も高いし、客席の煽りも堂に入っていて安心して盛り上がれる職人の仕事を見たという感じ。

 そして主催でありラストを飾る少女第九楽章-ガールズアンセム-ビジュアル面では頭ひとつ抜けており、楽曲やパフォーマンスも悪くない。他のグループの激しいパフォーマンスに疲れた後では見た目の爽やかさもあってヲタの心と体に優しいライブパフォーマンス。メンバーは4人とのことだが当夜は3人の出場。センターの宮澤美琴(名前だけで既に推したくなる)は均整の取れたスタイルに往年のセクシー女優朝河蘭を彷彿とさせる大人びた表情で観客(というか筆者)の視線を釘付けに。また最年少の此花佳桜は中学生ながら170cm超というモデルのようなスタイルで思わず見とれてしまう。そして当日、約ひと月ぶりに復帰を果たしたという雪白ひまり。当人から挨拶があるとのことでファンが一旦腰を落として聞く体制に入ると何やらツイッターで何か都合の悪いことをつぶやいてしまい、関係者に迷惑をかけしてまったとのこと。まあ、年齢も低そうだし(JCかJKくらい?)若気の至りというのはあるよね、ふーん。という程度で聞いていたのだが何だか会場の雰囲気が変。ふつう、こういう場合、もっと温かく「おかえり!」とか「待ってたよ!」とかの声が上がっておかしくないのだが、観客はひたすら静か。んー何があったんだろうと気になる中、やたら緊張した面持ちのひまりちゃんが感極まって落涙。それでも静かな客席。うーん、とうなっている間にもパフォーマンス再開、そして観客への謝罪コメントを終えて緊張の糸が切れたか上演中にもまた嗚咽を漏らす場面が。なんだかよくわからないうちに終わってしまい狐につままれたような心持のまま帰途に。ところがネットで調べたとたんに疑問は氷解。しばらく前に地下アイドル界隈で話題になった裏垢で待遇の不満を呟いて音信不通になった子だった。これだけならよくあることだが(よくはあるが普通戻ってこない)そもそもこの事象に対して現役メンバーが(つまり美琴氏)がプログで批判したことで事件は発覚、まとめられた経緯がある。これは結構辛辣。年齢やその行動から考えるにまだ幼さの残る少女であろうにここまでこじれた環境に戻ってくるには相当な勇気が必要だったであろうことは想像に難くない。そもそも、まとめの記事を見るにこの少女に同情すべき点は多々あるように感じられるのだが、会場の雰囲気は「よく戻ってきたね(o^―^o)ニコ」というよりは「よく戻って来れたな(# ゚Д゚)」という感じ。古くから応援していたファンにはこの少女が入って間もないのによくしてくれたメンバーに後足で砂をかけて出ていこうとしたように見えたのであろうか。確かにステージ上で泣き崩れそうな少女を励まして支えた美琴氏の懐の深さは初見ながらも感じられただけにファンからの人望は高いのだろう。何気ない復帰セレモニーに見えた事象がこのような文脈を捉えた上で改めて振り返ると大変なドラマツルギーを包含したイベントとして記憶の中に立ち上がってくるからおもしろい。継続して見ていきたいグルーブだ。

2017年4月3日/5日 81moment/KNU 新曲リリースイベント@タワーレコード川崎店

81moment:名前はよく聞くのに対バンなどでも見たことがなかったので行ってみた。イベント前に店内で新曲を流している時点で良曲であることを確認。ファンはそこそこ。ガラガラでもなく溢れかえるほどでもなく。メジャー初リリースということになるシングル化の「UTAGEI」、そして猛烈にプッシュしているらしい新曲の「奇跡はすでに生まれてる」の他2曲ほど披露。5人という人数はバランスがよさそう。突出して人気のあるメンバーがいるというわけではなくコールも満遍なく寄せられている感じ。色分けされてメンバーも判別しやすい。アップテンポで爽快感のある良曲にキレのいいダンス、それなりに安定したボーカル。いわゆる沸き曲というのかファンのMIXやコールが店内に響き渡り大いに盛り上がる。音はボカロ系に寄ったややサイバーなつくりで新曲が突出して出来がよいだけに既存の曲は数曲続けて聞くとやや単調か。黄色い子がちょっと気になったのでもう少し様子を見てみたい感じだ。何しろ5/16発売の曲の販促である。まだまだリリースイベントを山ほど予定しておりどこかで見る機会はあるだろう。

 

KNU:KYONYUから取ったというグループ名だけにメンバー全員が巨乳という本格的なコンセプトアイドル。衣装も見事に胸の部分だけくり抜いて強調するスタイル。名前だけの出落ちで終わるかと思えば曲は意外に悪くない。また胸だけでなくビジュアルのレベルも高い。ダンスや歌もまじめに取り組んでいる様子が伺え他のアイドルと比べてもそん色はない。美人系のメンバーははっきり美人、可愛い系は正しく可愛いといういわゆるアニメの萌え系巨乳キャラがそのまま実写化されたかのようなゴージャス感がこのグループの強みか。もう少し不細工な子が混じっていればそれなりにリアル感というか生活感が感じられたはずだが、なにしろみな可愛いのでいい意味で現実感にとぼしい。キャラクタを突き詰めるとここに至るという見本のようなグループである意味現代を象徴するアイドルと言えるかもしれない。ファンの数も川崎店で見た中ではかなり多い方に数えられるだろう。テレ朝のアイドルお宝くじでも企画を勝ち上がって露出が増えているためさらに人気は増す気配。まさにおっ○いは正義。筆者の中ではCANDY GO!GO!のなぎさりん、G☆Girlsを経ていよいよ真打登場との感が高まっている。リリイベの特典も最大200枚でメンバーとキャンプ?というえげつない餌をちらつかせるあたり地下の手法そのものだがどこまで釣り上げられるか見もの。それにしても今回はメンバーの姿を追うのに必死でファンのコールとかまともに覚えていない。確認のためもう一度見る必要がありそうだ。

2017年3月27日(月)WHY@DOLL新曲リリースイベント@タワーレコード横浜ビブレ店

 ほわどるを見るのは1月のタワレコ感謝祭以来。相変わらず美しくプロフェッショナルな二人。タワレコ横浜ビブレ店にて2月に発売した「キミはSteady」のリリイベ。表題曲の他カップリングの「ラブ・ストーリーは週末に」、「菫アイオライト」など6曲(セトリは文末参照)を披露。ファンの年齢層は全体に高め、地下アイドル特有のMIXや「~ちゃん!」はおろかPPPH、オイオイやオーイングなどの定番コールも一切なし。ごくわずかにサイリウムなどを掲げる熱心なファンの他は基本的に手拍子でステージの二人が「次は~で!」と促されると指定されたポーズ(ピースなど)を真似るおとなしいスタイル。音楽も角松敏生を彷彿とさせる80年代のコンテンポラリミュージック風(跳ねるベース、踊るカッテイングギター、歌うサックス)、アダルト志向でアンチピンチケなチューンとなっている。同じような音楽を志向しながら東京女子流のように嫌味がないのはヲタを排除しない包摂的な雰囲気を醸し出しているせいか。(また女子流の音がつまらないのはダンス志向なためテンポが速い割にプラコン特有の音を重ねすぎてグチャっとした音像になってしまい耳障りが悪いため)ほわどると呼ばれるだけあってその緩いイメージ通りのややテンポダウンした曲はオヤジには大変心地よい。2回見てもいまひとつファンの特徴を捉えきれていないのだが、同じように楽曲へのこだわりの強いNegiccoなどに比べるとビジュアルの水準が高いためガチ恋もそれなりに多いのだろうか。オタクも十把一絡げでは語れないと実感。

 

セットリスト:

Gemini

キミはSteady

アイオライト

ラブ・ストーリーは週末に

あなただけ今晩は

秒速Party Night

濱野智史著「アーキテクチャの生態系 : 情報環境はいかに設計されてきたか(2008、NTT出版)」を読む

 2月11日に約1年半の沈黙を破り自らプロデューサーを務めていたアイドルグループPIPについての清算と途上でプロデュースを放棄したことへの謝罪と総括を行うとの触れ込みで行われたニコニコ生放送での会見。そこではひたすら謝罪に徹する彼の姿は見られたもののAKB48のファン時代からの自らのアイドルとの関わりについての総括はついに行われず多くの同会見視聴者の期待を裏切ることとなった。実際、ニコ生の放送枠を提供したPLANETS主催者でありAKBヲタの盟友である宇野常寛氏からもそうした総括は必要であり、自らの研究者としてのアウトプットとして世に出すべきであるとのコメントが聞かれた他、本会見に強い関心を持っていたと思われるロマンポルシェロマン優光もツイートで次のように語っている;「はまのんが本当にやるべきだったのはオタ~運営時代の冷静な総括で、気持ちはあるのだろうけど何も伝えられてないような奇妙な個別謝罪ではなかったとは思うんだけど。いや、予想以上にななめ下に飛んでいってる感じだったなあ…。」

 その濱野智史社会学者としての代表作「アーキテクチャの生態系」は2008年の発行であるから執筆時の情報環境を考慮すればほぼ10年前のインターネットをめぐる情報環境についての考察ということになり、通常であれば古さは否めない。なにしろフェイスブックツイッターもまだアメリカで産声を上げた直後で日本ではまだ野のものとも山のものともつかない状況であったのだ。しかしながらそこで彼が「アーキテクチャ」として紐解いたウェブを中心とするプラットフォームの仕組みに関する洞察は社会情報環境をテーマとする多くの研究者に少なからず影響を与え、多くの論文で引用されてきた。おそらく筆者も自らの論文執筆の際には本書で濱野氏が示したいくつかの概念を引用することになるだろう。移り変わりの激しいウェブテクノロジーの環境においてある一時点での状況を俯瞰して見通し各々の概念を整理したうえで生態系として提示された本書の内容を振り返り、彼のアイドル活動との関連について考察することはあながち意味のないことでもないだろう。

 本書はゼロ年代のWEBのあり方についてアーキテクチャとそれを取り巻く生態系という概念から紐解こうと試み、Webの覇者としてのグーグル、グーグルなきWeb進化の形態としての2chへの言及を行うとともに日米のSNSの差異について閉鎖性、儀礼的無関心などから読み解いていく。またファイル共有ソフトやニコ動に見る同期/非同期の問題、初音ミク現象とオープンソースに見るn次創作への言及、操作ログとしての携帯小説、そして日本に自生するアーキテクチャについて思いを寄せつつ閉める。

 特に2chのフロー、コピペ文化、匿名性といった特性が固定した一定の参加者による場の支配を排除する仕組みとなっている点を看破した点、また日本人特有の小集団内で閉じる気質を生かしたミクシィが執筆時点で最大のユーザベースを誇っていた点に関して山岸俊男氏の日本人の安心社会と米国人の信頼社会の概念を適用して説明する点に迫力がある。米国のように流動性が高い社会ではまず個人の信頼度を高くおいて修正していくほうが生産性が高い一方で、日本のように固定的な社会ではその個人が属する集団内において内輪を裏切らないことの合理性が高くなる。そのため、個々人に対する信頼性よりも個人がどこに属するかということを重視する傾向にあることを引き合いに出し、ミクシィのような招待制をとり、知り合いのみに開いたあり方が日本人にとっての安心を引き出すことで日本での最大ユーザ獲得につながっているのだと結論づける。濱野氏はこの時点でのミクシィのユーザー数1500万人という巨大なインストールベースによるネットワーク外部性を根拠にツイッターが日本で普及することはないだろうとしているが、これはその後のスマホブームやアラブの春などにおけるツイッターの存在感の浮上を予見できなければ無理もない話だ。

 不思議なのは複雑な社会の情報インフラにこれだけ鋭いメスを当てられる彼が会見で謝罪会見で見せた驚くべき幼児性というか非成熟性である。メンバーを恫喝するなどアンガーマネジメント能力の欠如に加えてビジネス面でのマネジメント能力が著しく欠けていたことを自ら反省点として述べているが、それを自覚しておきながらなおその補完のために指原莉乃高橋みなみの本にリーダーシツプの指針を求める態度にはもはや社会人としての常識を疑わざるを得ない、というのが正直な感想である。そこに見るのは恐るべきコミュ障の姿であり、そのキーワードによって彼が接触によりAKBにはまり、さらに接触のコストパフォーマンスを追及することで地下アイドルにはまり…というプロセスの背景がよく理解できるのである。彼が自らのアイドルとの関わりについて総括するならばコミュ障としての自覚、それを背景としての接触への惑溺という経験から現在の地下アイドルとファンの関係を規定するメカニズムについて言及するところから始めるべきであろう。彼に求められているのは、もう一切アイドルについては語りません関わりませんと宣言することではなく、自己の客体化によるファンとアイドルの関わり、それが日本の社会にとって何を意味するのかを明らかにすることにある。

2017年3月2日(木)G☆Girls新曲リリイベ@タワーレコード横浜ビブレ店

 帰り際にちらっと覗いたら凄かった。グラドルの寄せ集めっぽいイメージだったので歌やダンスはおざなりなんだろうと思っていたら意外にも曲がよくさらには振り付けなども本格的。おやじカメコが張り付いて粘着する地獄絵図を想像していたのだがまさかの撮影禁止。さすがにピンチケはおらずオタクの年齢層は高いがコールは通常の地下ドル仕様でMIXありありの声が出る出る。衣装の露出度が高くセクシーよりな立ち位置を除けば普通に本格的なアイドルだった。

 一曲目の「Shining Days」という疾走感のある曲が結構よくて耳から離れない。途中で音源が止まってしまうというハプニングはあったもののすかさずトークでカバー。こんな珍しいハプニングに遭遇できてよかったね、と切り返す機転の良さに好感。よくよく聞いたら結成6年にして初のメジャーレーベルでのリリースということでそれなりにキャリアを重ね(結成当初のメンバーはいないにしても)気合が入っていた模様だ。そして今回発売の「ダイヤモンドラブ」とC/Wの「FURACHI」がなかなかにエロティックな振りでオタクを悩殺。

 さすがに歴代のミスFLASH受賞者であるナイスバディな美女/美少女を集めただけにビジュアルは華やかであり「おっ○゜いは正義!」と叫びたくなるほどのスタイルの良さに目を奪われる。やはりアイドルとジェンダー、性の問題は切り離せないのだと強く実感。アイドル文化が根付くにはこのあたりのイメージを変えていかないといけないのだろう。彼氏にしたくないタイプとして若い女性から圧倒的な指示を受けるアイドルオタク。美少女に群がり幼い性を弄ぶ気持ち悪いオッサンという印象はなかなかに拭い難いものがある。このあたりの10年一日のアイドルオタクイメージを払拭するためにもやはり最先端のマーケティング理論であるサービスドミナントロジック視点でのアイドルと顧客の価値共創について早期に論じる必要があるようだ。

2017年2月22日(水)つばきファクトリーメジャーデビュー記念新曲リリースイベント@ディファ有明

 つばきメジャーデビューイベント。結成から2年も経ちハロコンでは毎回見るし去年はTIFにも出場。インディーズながらNegiccoやアプガ、夢アドなどの半地上とほぼ同格の扱いで大きなステージにも立っていたつばき。今さらメジャーデビュー?といぶかしみながらもやはりメジャーはメジャー。大きな会場だけにハローのイベント4連続売り切れシャットアウトだけはまぬがれた。4回目の正直でやっとCDゲット。しかしながら呼び出しの整理番号で1100番台だけにさすがに握手券は配布終了。なんとかライブだけは観覧。関係者や撮影のためのスペースを一部つぶしてはいたものの会場を埋め尽くした1200人近いファンを集めたのはやはり2年のキャリアのなせる業か。

 インディーズ時代の2曲に続きサプライズで登場した℃-uteジョイントでの都会のひとり暮らし、そして青春まんまんなか!を挟んでメジャーデビューシングルの連続3曲とセトリはなかなか盛りだくさん。「ファクトリー」の名を冠していることからベリーズ工房の精神を後継、と毎回説明するのだけれど、先にメジャーデビューして活躍しているこぶしとの対比からやはりベリに対して後発でデビューした℃-uteの後継との位置づけを公式にも印象付けるためなのかわざわざこの一曲のために℃-ute投入となかなかに準備は周到。個人的には℃-uteはキッズの初期に一人で外仕事のできる子たちはソロで出し(NHK教育などTVの露出もそこそこあった舞美や舞台にも出演していた村上愛など)、仕事のなさそうな子を集めたのがベリーズという印象を持っている。℃-uteを結成したときもまったく仕事のなかったなかさき以外はやっとキッズのエリート集団でギループ結成かという認識だったので苦節2年の苦労人としてのデビューを印象付けるための先達としての℃-ute、というのは何だか違和感が残る。つばきは結成時から薄幸感が漂っていて本当にデビューさせる気があるのか危ぶまれるような状態だったので。こちらは本当に正真正銘の苦節2年。本人たちも本格的にメジャーデビューできるのか不安思っていたところもあるのじゃないかと思う。きそらの涙もむべなるかなという感じ。

 それにしてもさすがにメジャーデビューだけに3曲ともよく練られた楽曲を持ってきたという感じ。初恋サンライズはもちろん格好いいが、うるわしのカメリアもお気に入り。カントリーなんかでも歌えるのかもしれないが、大正ロマンっぽいPVであれだけピュアな感じを出せるのはハローではつばきだけと感じさせる。MCも変にこなれてきた感はあるものの基本的にはピュア。メンバー間で突っ込みやガヤを入れたりしても下品にならないところもつばきのいいところなのかな、と。唐突にりこりこが読みだした手紙に仕込んだネタにおのみずが絶妙なタイミングで突っ込みを入れたのは見事だったけれど、あれもお笑い芸人を真似したいやらしさみたいなものがなくてとても微笑ましかった。そういう意味でMCなんか原稿の棒読みでひたすら素朴だった昔のハローっぽさを今一番体現しているのはつばき、ということは言えそうだなと改めて感じたリリイベ。苦労人としての本性を発揮し今やハロー最強とまで言われるつばきの握手を体験できなかったのは残念だが、

 

セットリスト

  1. 独り占め
  2. 気高く咲き誇れ!
  3. 都会の一人暮らし
  4. 青春まんまんなか!
  5. うるわしのカメリア
  6. Just Try!
  7. 初恋サンライズ

2016年10月23日(日) 寺島由芙 「ワセジョの夢の叶え方」@2016稲門祭

 随分前のイベントだがせっかくメモを取っていたので備忘録として残しておく。早稲田大学の学祭における2014年文学部卒のゆっふぃーと1996年政経卒の歌手の宮苑晶子さんとのトークイベント。場所は8号館311教室。

 自己紹介でなぜアイドルになろうとしたのかを語るゆっふぃー。17歳のころまでモーニング娘。が好きでオーディションも受けていたとのこと。この場では語らなかったが、調べるとキッズオーデを受けていたことが判明。ゆっふぃー小5のことなので受かっていれば同学年の舞美やももちと時代を作っていた可能性も。その後小春のきらりんが好きだったと言っているので娘。8期メンバーも受けている模様だが光井愛佳とゆっふぃー。。。娘。史に残る最大の謎のせいでここでもアイドルの夢を絶たれた後は受験に専念。大学入学後の19歳で焦りを感じていたところ語学の授業の学友がニコ動で配信していることを知り自ら発信する道があるのだと開眼。このご学友について聞かれ「男の子だけどただの友達だから!オタクはすぐ病んじゃうから」と繊細なヲタに配慮。そこから積極的に作曲家のコミュニティにコンタクトして曲をつくってもらいライブハウスで歌うようになったのだとか。その縁で受けたBiSのオーディションが世に出るきっかけとなるのだからアイドルとしては遅咲き。かなり遠回りをしたといえるだろう。

 ただし本人はあまりそれを肯定的にとらえているようだ。今は小学生でオーディションを受けて芸能界入りをする子供もいるが大人になって後悔しないか心配とのこと。ゆっふぃーの場合は自分で判断で始められたのでそれはよかったと感じているそうだ。実際、その自立性はバイト選びにも表れている。ふつうは求人広告を通して申し込むものだが、ゆっふぃーは通学途上で講義が始まる前の短時間だけの勤務でも務まることなどの条件に合うパスタ店にバイトの募集もしていないのに自ら電話をかけて職を勝ち取ったというから尋常ではない。自分の運命は自ら切り開いていくものという強い意志が感じられる。

 座右の銘は「学をなすに三要あり、志なり、勤なり、好なり」これは中学の生徒手帳に載っていたとのことだが、好きなことを続けたいということでゆるキャラで卒論も書き、ゆるキャラのイベントに通い詰めることで先方から声がかかりゆるキャラのお姉さんのような仕事も増えていったという。5年後にどうなっているかと聞かれ、30歳になるのでアイドルとしては苦しいかもしれないがゆるキャラの仕事は続けていたいし、加えて早稲田で学んだことを生かしこれからは文筆の方で発信側に回る仕事をしたいとも。出版したら記念のサイン会や握手会に来てね、とオタクにアピールも忘れない。握手も実は好きなのでやれる仕事はやりたいと。

 最後に質問の時間はありません、聞きたいことはゆっふぃーの握手会で聞いてね、としごとのできる女性らしくクールに閉める宮苑さんにかぶせて「10秒しかないけどね」とオタクを凍らせるゆっふぃー。Facebookでの参加申し込みということでかなりハードルの高いイベントだったのでオタクが集結していたのかは定かではないが、随所にオタクをいじるゆっふぃーのやさしさ(?)が伺えて興味深いイベントではあった。本当はワセジョらしさとは、みたいな話もあって「女扱いされない!ちやほやされない!」という点で意気投合する場面もあったのだが、ゆっふぃーが身近にいて手を出さないとも思えないのでこの辺は話半分で聞いておくべきかと。